大阪社保協通信

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1267号 2023.8.7

  TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846

大阪社会保障推進協議会

  

総合事業7年。一部自治体で進む要支援サービスの切り捨て〜大阪府内の「総合事業」の実施状況

総合事業とは

「総合事業」(介護予防・日常生活支援総合事業)は2014年の介護保険制度改定で作られ、2015年〜2017年度に全自治体で実施されました。

★要支援者のサービス切捨てが狙い

 総合事業は、要支援1,2の訪問介護(ホームヘルパー)と通所介護(デイサ−ビス)を「介護保険給付」から外し、市町村の行う「事業」へと移すことで要支援者のサービスを切り捨てるための仕組みです。

 第1に、国が定める一律の基準・介護報酬で実施される「介護保険給付」でなくなり、市町村が自由に切り下げられるようにしたことです。

 第2に、国は総合事業ガイドラインを定め、市町村に対して、ホームヘルパーとデイサービスを従来の基準のサービス以外に「多様なサービス」(無資格・低報酬サービスや住民ボランティアなど)を市町村が作って、これに移し替えていくことを推進したことです。

国がガイドラインで定めた総合事業サービスの「典型的な類型」の概要

 @従来相当サービス:従来の基準・報酬のホームヘルパー、デイサービス

 AA緩和型サービス:基準を緩和し無資格者で低い報酬のサービス

 BB住民主体型サービス:住民ボランティアによるサービス

 CC短期集中型サービス:3〜6ヶ月で集中的に機能向上を目指すサービス

 このほか訪問型では「D移動支援:住民ボランティアによる移送サービス」がある

 

第3に、総合事業の財源は介護保険ですが、国は総合事業費の「上限」を設定し、市町村に事業の抑制(安上がり化)を押し付けてきたことです。

★利用者数で見た総合事業の実施状況(厚生労働省調査から)

総合事業移行後7年が経過しましたが、「多様なサービス」は増えてはいるものの、利用者数で見ると依然として「従来相当サービス」(従来の基準・報酬のホームヘルパー、デイサービス)が多数を占めています。

 厚生労働省調査は、2022年3月時点で、訪問型サービス(ホームヘルパー)の利用者数(実人数)は、全国計では従前相当サービスが303,532人(75.1%)に対し、A基準緩和サービスは83,655人(20.7%)、B住民主体サービスは12,224人(3.0%)、C短期集中サービスは2,713人(0.7%)となっています。利用者数の4分の3を従前相当サービスが占め、「多様なサービスへの移行」は国の思惑通り進んでいません。

 通所型サービス(デイサービス)では、従前相当サービスが512,670人(80.1%)を占め、A基準緩和サービスが95,789人(15.0%)、B住民主体サービスは18,987人(3.0%)、C短期集中サービス12,8472.0%)です。こちらでも従前相当サービスが8割を占め「多様なサービスへの移行」は国の思惑通り進んでいません。

「多様なサービス」と言っても、地域の支え合い・助け合いを促進するとして国が推奨した「サービスB(住民主体サービス)については、理由者は3%程度にとどまり、微々たるものです。大半は、「サービスA(基準緩和サービス)」で、従来よりも1割〜3割程度低い報酬の安上がりサービスが拡大した結果になっています。

 

総合事業の訪問型サービスの利用者数(全国計)      20223月時点

 

従前相当サービス

サービスA(基準を緩和したサービス)

サービスB(住民主体によるサービス)

サービスC(短期集中サービス)

実人数

比率

実人数

比率

実人数

比率

実人数

比率

訪問型サービス

303,532

75.1%

83,655

20.7%

12,224

3.0%

2,713

0.7%

通所型サ−ビス

512,670

80.1%

95,789

15.0%

18,987

3.0%

12,847

2.0%

令和3年度 介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況(令和3年度実施分)に関する調査結果の数値で計算 「比率」は各サービス利用者実人員の合計数に対する比率である

★大阪府内市町村ではどうなっているか 〜大きな自治体格差

@一部自治体で「従来相当サービス」の利用者が激減 

 2022年3月時点の厚生労働省調査(市町村別)で大阪府内自治体の実施状況をみると大半の自治体が「従前相当サービス」利用者が多数ですが、一部の自治体で「サービスA基準緩和サービス」が利用者の多数を占め、従来相当サービス利用が激減する結果となっています。

 

従来のホームヘルパーのサービスが1割以下に減少した7市 訪問型サービス

 

従来相当サービス利用者数・率

A基準緩和サービス利用者数・率

緩和型の報酬(従来相当比)

岸和田市

9人、0.9%

940人 99.8%

約80%

貝塚市

12人、3.6%

318人、96.4%

約80%

大東市

12人、3.8%

158人、49.7%

 

柏原市

16人、8.8%

153人、84.1%

約84%

守口市

14人、4.2%

316人、95.8%

 

約76%

門真市

27人、7.0%

356人、93.0%

四條畷市

10人、9.0%

101人、91.0%

 訪問型(ホームヘルパー)では、従来相当サービス利用者が著しく少ないのは、岸和田市(9人、0.9%)、貝塚市(12人、3.6%)、大東市(12人、3.8%)、柏原市(16人、8.8%)、守口市(14人、4.2%)、門真市(27人、7.0%)、四條畷市(10人、9.0%)で、この7市では、従来相当サービス利用者は1割以下となっており、要支援1,2の認定を受けても従来のホームヘルパー利用はほとんどできなくなっていると言えます。

また、「従来相当サービス」が「多様なサービス」より少なくなってる自治体は、大阪市(45.8%)、泉大津市(47.21%)、箕面市(19.1%)、寝屋川市(11.4%)、交野市(27.3%)、太子町(40.0%)の6市町です。

A安上がり化でヘルパーの待遇悪化に拍車、人材不足を加速

これら13市町では、大東市と太子町以外は「A基準緩和サービス」が従来相当サービスに置き換わっているのが特徴です。

基準緩和サービスは、無資格者が短時間の研修を受けただけでサービスを提供できるとされ、報酬は従来相当サービスと比べ70%〜80%程度に削減されています。

 ホームヘルパー(訪問介護員)は、有効求人倍率が15倍を超え、8割以上の事業所が「人手不足」となっています。「基準緩和サービス」はホームヘルパーの仕事の内、「生活援助(家事支援)は無資格者でもできるようにして、人材不足を補い、報酬を削減することで費用も抑えると説明していました。しかし、実際は短時間の研修を受けただけの無資格者がサービス提供できる事例は少なく、ヘルパー資格保有者がサービス提供し事業所が受け取る報酬だけがダウンするという結果になっています。報酬が削減されることで、事業所の経営が困難になりヘルパーの待遇が悪化し、人材不足に拍車をかけるという事態になっているのです。

B通所型サービス(デイサービス)でも「従来相当サービス」削減

 通所型サービス(デイサービス)でも、一部自治体で「従来相当サービス」の利用者削減がすすんでいます。岸和田市(11人、1.1%)、貝塚市(6人、2.0%)、寝屋川市(77人、11.3%)、大東市(15人、16.0%)、交野市(42人、11.9%)、守口市(8人、2.1%)、門真市(17人、4.4%)、四條畷市(9人、7.6%)の8市では、要支援1,2の人は従来のデイサービスが利用できなくなっています。

 通所型サービスの「A基準緩和サービス」は、利用者15人に対しスタッフ1人(資格を問わない)という配置で、事業所の受け取る報酬は8割程度に減額されています。ここでも、デイサービス事業所の経営悪化がすすみ、大東市などをはじめデイサービスの利用者数自体が減少しているところもあります。

C地域包括支援センターとケアマネジャーに対する締め付けで削減

「従来相当サービス」が大きく減少した自治体は、総合事業移行後、要支援者のケアプランを担当する地域包括支援センターとケアマネジャーに対する締め付けを強化し、「サービスを自由に選択させない」仕組みを作ってきました。

例えば、岸和田市では、総合事業移行と同時に、「サービス選択会議」を設置し、「真に現行相当サービスの利用が必要と判断される者」を市が直接判断することにしました。。「従来相当サービス」を利用できるのは、@認知症・知的障害などで日常生活に支障がある行動・障害がある A退院直後で専門的サービスが特に必要 Bゴミ屋敷など専門的支援が必要 C疾患が原因で動作時に息切れ等で生活に支障がある などに限定し、利用者厳しく選別したのです。現在は、選択会議でなく、ケアマネジャーに「現行相当サービス利用理由書」を提出させることになっていますが、厳しくチェックされるので大半のケアマネジャーは従来相当サービスの利用を諦めてしまっています。

守口市・門真市・四条畷市の「くすのき広域連合」では、2021年度から従前相当サービス利用対象を「3要件」(がん末期、難病、認知症その他精神疾患)該当者とし、従前相当のホームヘルパー・デイサービスを利用しようとするケアマネジャーは、「従前相当サービス利用理由書」を市に提出することが必要となりました。各市とも厳しくチェックし利用を容易に認めないため、わずが1年で従来相当サービスは激減しました。

★要支援サービス切捨てを許さない取り組みを

 現在、各自治体は2024年度〜2026年度の第9期介護保険事業計画作成の検討を始めています。国は厚生労働省に「総合事業充実検討会」を設置し、総合事業の「多様なサービス移行」を徹底するための「工程表」を作ることにしています。

 各自治体で、従来のホームヘルパー・デイサービスの利用を守り、要支援者ののサービス切捨てを許さない取り組みが重要となっています。

 

 2023年度大阪社保協 自治体キャラバン要望項目

C総合事業(介護予防・生活支援総合事業)について

イ、利用者のサービス選択権を保障し、サービスについて、すべての要支援認定者が「従来(介護予防訪問介護・介護予防通所介護)相当サービス」を利用できるようにすること。また、新規・更新者とも要介護(要支援)認定を勧奨し、認定申請を抑制しないこと。

 

(文責 大阪社保協 介護保険対策委員会 日下部雅喜)

 

ホームヘルパー 大阪府内市町村 総合事業の訪問型サービスの利用者数

                          (20223月時点)

市町村名

訪問型従前相当サービス(旧介護予防訪問介護に相当するサービス)

 訪問型サービスA(基準を緩和したサービス)

訪問型サービスB(住民主体によるサービス)

訪問型サービスC(短期集中予防サービス)

実人数

比率

実人数

比率

実人数

比率

実人数

比率

大阪市

8,168

45.8%

9,678

54.2%

 

0.0%

2

0.0%

堺市

5,676

99.6%

24

0.4%

 

0.0%

 

0.0%

岸和田市

9

0.9%

940

99.1%

 

0.0%

 

0.0%

豊中市

 

 

 

 

 

 

 

 

池田市

478

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

0

0.0%

吹田市

1,632

99.2%

 

0.0%

 

0.0%

13

0.8%

泉大津市

160

47.1%

172

50.6%

 

0.0%

8

2.4%

高槻市

1,412

98.8%

17

1.2%

 

0.0%

 

0.0%

貝塚市

12

3.6%

318

96.4%

 

0.0%

 

0.0%

枚方市

1,259

89.7%

144

10.3%

 

0.0%

 

0.0%

茨木市

747

71.4%

296

28.3%

3

0.3%

 

0.0%

八尾市

658

96.8%

18

2.6%

4

0.6%

 

0.0%

泉佐野市

-

-

 

 

 

 

富田林市

714

98.9%

1

0.1%

 

0.0%

7

1.0%

寝屋川市

105

11.4%

765

83.3%

48

5.2%

 

0.0%

河内長野市

396

96.8%

0

0.0%

1

0.2%

12

2.9%

松原市

446

90.8%

44

9.0%

1

0.2%

 

0.0%

大東市

12

3.8%

158

49.7%

120

37.7%

14

4.4%

和泉市

766

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

0

0.0%

箕面市

81

19.1%

343

80.9%

 

0.0%

 

0.0%

柏原市

16

8.8%

153

84.1%

 

0.0%

13

7.1%

羽曳野市

490

95.9%

16

3.1%

0

0.0%

5

1.0%

摂津市

-

-

 

 

高石市

459

100.0%

0

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

藤井寺市

303

99.3%

 

0.0%

 

0.0%

2

0.7%

東大阪市

1,913

77.3%

551

22.3%

10

0.4%

0

0.0%

泉南市

318

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

交野市

88

27.3%

226

70.2%

 

0.0%

8

2.5%

大阪狭山市

 

 

 

 

 

 

 

 

阪南市

311

84.1%

 

0.0%

59

15.9%

 

0.0%

島本町

 

 

 

 

 

 

 

 

豊能町

57

87.7%

 

0.0%

8

12.3%

 

0.0%

能勢町

37

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

忠岡町

133

85.8%

22

14.2%

 

0.0%

 

0.0%

熊取町

116

87.2%

17

12.8%

 

0.0%

0

0.0%

田尻町

51

100.0%

0

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

岬町

134

100.0%

0

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

太子町

20

40.0%

 

0.0%

1

2.0%

17

34.0%

河南町

37

82.2%

 

0.0%

 

0.0%

1

2.2%

千早赤阪村

17

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

守口市

14

4.2%

316

95.8%

 

0.0%

 

0.0%

門真市

27

7.0%

356

93.0%

 

0.0%

 

0.0%

四條畷市

10

9.0%

101

91.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

デイサービス 大阪府内市町村 総合事業の通所型サービスの利用者数 

(20223月時点)

 

通所型従前相当サービス(旧介護予防訪問介護に相当するサービス)

通所型サービスA(基準を緩和したサービス) 

通所型サービスB(住民主体によるサービス)

通所型サービスC(短期集中予防サービス) 

 

実人数

 比率

実人数

 比率

実人数

比率

実人数

 比率

全国

512,670

80.1%

95,789

15.0%

18,987

3.0%

12,847

2.0%

大阪市

12,055

99.9%

 

0.0%

 

0.0%

7

0.1%

堺市

5,643

99.0%

48

0.8%

 

0.0%

10

0.2%

岸和田市

11

1.1%

892

92.1%

 

0.0%

65

6.7%

豊中市

 

 

 

 

 

 

 

 

池田市

618

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

0

0.0%

吹田市

1,555

99.9%

1

0.1%

 

0.0%

 

0.0%

泉大津市

339

94.4%

 

0.0%

 

0.0%

20

5.6%

高槻市

1,607

99.8%

3

0.2%

 

0.0%

 

0.0%

貝塚市

6

2.0%

293

98.0%

 

0.0%

 

0.0%

枚方市

1,345

99.7%

4

0.3%

 

0.0%

 

0.0%

茨木市

1,047

62.4%

 

0.0%

619

36.9%

13

0.8%

八尾市

1,375

99.4%

 

0.0%

 

0.0%

8

0.6%

泉佐野市

-

-

 

17

 

富田林市

544

84.7%

86

13.4%

 

0.0%

12

1.9%

寝屋川市

77

11.3%

490

72.1%

 

0.0%

113

16.6%

河内長野市

462

87.5%

28

5.3%

 

0.0%

38

7.2%

松原市

599

87.8%

83

12.2%

 

0.0%

 

0.0%

大東市

15

16.0%

49

52.1%

28

29.8%

2

2.1%

和泉市

826

99.0%

 

0.0%

 

0.0%

8

1.0%

箕面市

159

29.2%

385

70.6%

 

0.0%

1

0.2%

柏原市

183

83.2%

37

16.8%

 

0.0%

 

0.0%

羽曳野市

534

98.0%

2

0.4%

 

0.0%

9

1.7%

摂津市

-

 

 

 

 

 

-

 

高石市

373

100.0%

0

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

藤井寺市

421

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

東大阪市

2,271

89.3%

88

3.5%

184

7.2%

0

0.0%

泉南市

309

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

交野市

42

11.9%

310

88.1%

 

0.0%

 

0.0%

大阪狭山市

 

 

 

 

 

 

 

 

阪南市

263

79.2%

 

0.0%

69

20.8%

 

0.0%

島本町

 

 

 

 

 

 

 

 

豊能町

166

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

能勢町

43

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

忠岡町

86

78.9%

23

21.1%

 

0.0%

 

0.0%

熊取町

101

66.0%

52

34.0%

 

0.0%

0

0.0%

田尻町

22

100.0%

0

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

岬町

37

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

太子町

50

74.6%

 

0.0%

 

0.0%

17

25.4%

河南町

94

98.9%

1

1.1%

0

0.0%

 

0.0%

千早赤阪村

35

100.0%

 

0.0%

 

0.0%

 

0.0%

守口市

8

2.1%

360

93.8%

 

0.0%

16

4.2%

門真市

17

4.4%

361

94.4%

0.0%

6

1.6%

四條畷市

9

7.6%

103

87.3%

 

0.0%

6

5.1%

令和3年度 介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況(令和3年度実施分)に関する調査結果の数値で計算 ※「比率」は各サービス利用者実人員の合計数に対する比率である

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

大阪社保協2023年度「第2回幹事会」のご案内

 

□日時 2023826()14時〜16時半

□リアル会場  大阪府保険医協会

□オンライン 

https://us06web.zoom.us/j/88366462445?pwd=NHlEdnBudmVRZ2F4YWZ2b1pkY0h1UT09

ミーティングID: 883 6646 2445パスコード: 253869

□議題   ・2023年度自治体キャラバン行動について

・下半期の取り組みについて

・その他

□参加対象 大阪社保協常任幹事・参加団体代表・地域社保協・個人会員   

□レジュメは前日に送信します