大阪社保協FAX通信   1143号 2016.7.28

メールアドレス:osakasha@ poppy.ocn.ne.jp     大阪社会保障推進協議会

  http://www.osaka-syahokyo.com/index.html    TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846

 

 

まともな説明・議論なしに「最終案了承」〜大阪市社会福祉審議会高齢者専門分科会で。

大半の新規利用者にホームヘルプ使わせず無資格サービスへ!利用者の選ぶ権利とケアマネの裁量権を否定!!

7月27日大阪市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会は、まともな議論もなく大阪市福祉局の示した「新総合事業のサービス利用の流れについて」を「了承」しました。

★無資格ヘルパー導入で報酬削減

大阪市は、来年4月1日から要支援者のホームヘルプ・デイサービスを新総合事業に全面移行させます。

これまで示した案では、ホームヘルプは「介護予防型訪問介護サービス」(現行相当)と「生活援助型訪問サービス」(基準緩和A型)に分かれ、基準緩和型は、無資格者による生活援助(調理・掃除・買物・洗濯等)で、既存の訪問介護事業所に参入させ報酬額は現行の75%程度というものです。

★認知症か寝たきりでないと現行ヘルパーが利用できない 大阪市基準案

焦点になっていたのは、要支援者がホームヘルパーによる「現行相当サービス」をどれだけ利用できるかという点でした。

6月2日の同分科会で示された案(現行相当型サービス利用判定基準)は、

新総合事業移行前に既に介護予防訪問介護を利用している人は「現行相当サービス」が利用できますが、

◆新規利用者は

@    「認知症高齢者の日常生活自立度」ランクU(日常生活に支障のある認知症)以上

A    「障害高齢者の日常生活自立度」ランクB(ベッド生活中心で車椅子利用)以上

の人でないと「現行相当サービス」は利用対象とならない

◆それ以外の人が「現行相当サービス」(訪問型)を利用するには、「大阪市サービス判定会議」(月1回、事務局大阪市高齢福祉課)の判定を受けなければならない

・・・というもので、新規利用者の大半は、ホームヘルパーによるサービスが利用できなくなり、無資格ヘルパー(基準緩和型)しか利用できなくなるものでした。

★利用者の「選ぶ権利」とケアマネジャーの裁量権を否定する暴挙

 これに対し、大阪社保協や関係団体は、「利用者の選択権・ケアマネジャーの裁量権を否定する暴挙」として、分科会委員に「反対」するよう要請してきました。

 ところが、7月27日の分科会では、大阪市側はからまともの説明もなく、委員の中で本問題についてほとんど理解がされないまま、部会長が「最終案を了承」としてしまいました。

★大阪市説明でも6割は排除

 分科会の中で、委員が「認知症自立度U以上という基準だとかなりカバーされるのではないかと思っていたが、団体からの要請文では『新たに相談受ける人のほとんどが基準緩和サービスしか利用できなくなる』と書いてある。そうは思っていなかったが、どの程度の人が現行相当サービスを利用できるのか」と質問されました。

 これに対し、大阪市(河合在宅サービス担当課長)は、「4割前後が現行相当、6割前後が基準緩和ではないかと考えている」と説明し、分科会ではそれ以上の議論もなく、「了承」とされました。

★「4割」の根拠も示さずペテンのような数字

来年4月移行の6割も新規利用者はヘルパーを利用できないという重大な事態です。しかも、大阪市の言う「4割」の根拠も全くありません。

大阪市の説明は「要支援者の主治医意見書の2割くらいは認知症自立度Uと書いてあった。全国統計では要支援でも7%くらいは身体介護でヘルパーの利用がある。認定調査項目でもう少し細かく拾っていく」というだけで、まったく根拠のない数字でした。どう考えても課題に見積もった数字です。

これが「専門」分科会の議論か? 会長も新総合事業のイロハ理解していなかった?

ホームヘルパーがどのような支援を実際しているか、要支援の利用者の生活や、事業者の状況など現場と利用者の実態など一言がありませんでした。

さらに、専門分科会の議論を傍聴していて、驚かされるのは、介護保険制度も新総合事業にも基本的な知識や理解もなく、大阪市の案に賛成する発言の目立つことでした。

「何度聞いても分からない。基準緩和サービスと現行相当とどう違うのか」という発言を最後にした公募委員もありました。

専門部会長の多田羅浩三氏もまとめのコメントで「霞ヶ関が画一的に決めるサービスから市町村が決めるのが新総合事業だ。『インデペンデンス』(独立)だ」などと持ち上げながら、最後に質問で「大阪市は新総合事業に独自の予算をどのくらいサポートするのか」と質問し事務局も説明に困る一幕もありました。

専門部会長自身が最後の最後まで、新総合事業が介護保険財政の枠内でしか行われず、自治体の独自財源を想定してない制度であることを理解しないまま審議していたことを示すものです。

★不当な選別基準撤回へ 大阪市へ声を

 このような「審議」で総合事業案と「サービス選別基準」が強行されては利用者やヘルパーはたまりません。大阪市に対し、「サービス選別基準案」の撤回と、関係者の声を聴いて新総合事業を準備するよう求めましょう。

 

8月30日、わが街の介護保険総合事業を学ぶ学習会を開催!ぜひご参加を!!

8月2日の高槻市を皮切りに2016年度大阪社保協自治体キャラバン行動がスタートします。(最新スケジュール及び文書回答は大阪社保協ホームページにアップしていますのでご覧ください。)

事前の市町村介護保険アンケートで介護保険総合事業の検討内容や進捗状況、考え方などを聞いていますが、いまだ類型がはっきりしていないところが多いのが現状です。しかし、一方で「自立支援」のという名のもとで、これまでの要支援サービス利用を一方的に批判し、介護保険からの卒業を誘導する「地域ケア会議」については、検討している、もしくは既にモデル事業を始めていたり、研修会をしている自治体も多くあることが判明しました。

大阪社保協では、大阪市や使い市に対しては大阪市内ブロック及び堺社保協とともに対策会議を積み重ね行動してきましたが、その他については地域社保協にお任せしている状態です。つきましては、しっかりと問題点の対策について学ぶための学習会を企画しましたので、ぜひともご参加ください。

 

わが街の介護保険総合事業

 問題点と改善のポイントを学ぶ学習会

 大阪では介護保険総合事業の実施はほとんどの自治体が来年4月からです(昨年度実施は箕面市、今年度からは茨木市、大東市、羽曳野市)

しかし、大阪社保協調査によると、現時点でも類型が不明で、現行相当サービスだけなのか、基準緩和サービスや住民主体サービスはどうするのか『いまだ検討中』という自治体が多くあり、その内容がよくわかりません。

8月からは自治体キャラバン行動もスタートしますが、大阪社保協アンケートをもとに、わが街の介護保険総合事業はいまどのような検討がされ、どんな問題点があるのか、さらには地域での改善部員とはなにかを学ぶ学習会を企画しました。ぜひご参加いただき地域での運動に生かしてください。

 

★と き 2016年8月30日(火)6時30分〜9時

★ところ 大阪府保険医協会M&Dホール

★資料は2016年度自治体キャラバン行動資料集と日下部雅喜著「どうなる介護保険総合事業」を使いますのでお持ちください。お持ちでない場合は当日販売いたしますのでご活用ください。

主催 大阪社会保障推進協議会 fax06-6357-0846 

  事前にfaxで参加申し込みをしてください。

         

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2016.8.30わが街の介護保険総合事業を学ぶ学習会

ふりがな   

お名前                   居住・勤務先 自治体名

団体・地域社保協・職場名

連絡先 Tel               fax