大阪社保協FAX通信   1142号 2016.7.13

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問題多い「担い手登録型サービス」、ケアプラン支援会議は「白紙」〜7月8日、堺社保協が堺市と介護保険総合事業問題で交渉

 7月8日、堺社会保障推進協議会は、来年から始まる「総合事業案」について堺市高齢施策推進課と交渉(意見交換)を行いました(社保協から15人が参加)。

堺市では、昨年から堺社保協が市内の介護事業者にも呼び掛けて、総合事業がよりましなものになるよう交渉を重ねてきました。その結果、当初の当局案が修正され、「緩和型サービスは実施しない」との案になっていました。7月11日開催予定の堺市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会に最終案が示されることを受けての交渉となりました。 

★4月時点の案と同一

 社保協側の「7月11日に示す案はこれまでと変更があるか」との質問に対し堺市側は「4月にお示しした案と同一です」と回答しました。交渉は、その案をめぐって行われました。

シルバー人材センターが住民主体?

 堺市の示した「国の例示と堺市の考え方」では、通所型・訪問型とも「緩和した基準によるサービス」(A型)は、「実施しない」とし、「住民主体」(B型)に対応するものとして「担い手登録型サービス」なるものを持ち出しています。

 交渉の中では「シルバー人材センターも一つの想定」、「参入する団体は法人格が必要」、「最低賃金は守ってもらう」と、住民主体とはかなりかけ離れた内容であることが明らかになりました。「どちらかといえば国のABの中間」などという説明も飛び出しました。

 現行相当サービスだけで総合事業移行しても何も問題がなく、堺市は緩和型サービスを否定したものの、苦し紛れに「住民主体サービス」を位置付けようとし、シルバー人材センターや一部のNPOを呼び込もうとしていますが、内容はとても「住民主体」などと言えるものではなく、極めて問題が多いも

のです。

★生活支援の担い手の養成研修は「大阪府」に準じたい

 「担い手登録型への参入はいつごろから募集するのか」との質問には、「12月くらいを目途に考えているが、それよりも現行相当を固めることが先だと考えている」と回答。さらに、6時間×2日となっている養成研修の案について質問すると「堺市が委託して実施する」としながら、カリキュラムなどは、「大阪府が市町村に呼びかけて作っているワーキングチームでの結論に委ねたい」と答え、時間数や内容について、すべて「大阪府任せ」のような無責任な姿勢をしめしました。堺市には、無責任だという自覚が全くありませんでした。むしろ大阪府に従うのが、当然という風なニュアンスでした。

★生活援助の「現行相当型」と「担い手登録型」に違いは

 堺市案は、生活援助でも「ヘルパー等有資格者によるサービスは必要」と明記しながら、無資格者サービスである「担い手登録型」の生活援助について、国基準の「家事援助サービスの内容を柔軟にしたサービス」という表現になっていました。どんなサービスなのか、具体的な内容は答えられませんでした。これについて、社保協側は「担い手登録型が担う生活援助は、現行のヘルパーのサービスの対象外の内容とし、区別すべきだ」と指摘しました。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★担い手登録型と併用すると現行相当サービスの報酬が下がる

 堺市案では、現行相当サービスについて、報酬は現行どおりで月額包括単位を原則としていますが、「1回あたり単価」も設定し、月途中での利用開始や終了の場合は、回数あたり単価を使用するとしました。問題は、「担い手登録型サービスを利用する場合」も現行相当サービスは「1回当たり単価」になるとしていることです。

 例)訪問型サービス 

  週1回程度  1月につき1168単位

     回数  1回につき 266単位

     ※曜日によるが、半分近い曜日は月4回

  266単位×4回=月1064単位にしかならない。

      月5回の場合は 1168単位を超えることはできない。

 この方法だと、「現行相当サービス」を使いながら、「担い手登録型」を併用した場合、まるまる一月サービス提供しても曜日によっては現在よりも報酬が下がることになります。

 社保協側は、「月途中での利用開始・中止の場合は1回当たり報酬というのは理屈として分かるが、担い手登録型と併用した場合、1回当たり報酬で事業所が減収になるというのは理解できない」とし、案から削除を求めました。

これに対し古下参事は、「みなさんの意見は聞いたということは残りますね。聞いた上で、検討するかどうかは、こちらの判断です」と答え「検討する」とさえ言わなかったため、社保協側からは「現場の要望を伝えている。声を聞くのは当然。要望通りにならないことがあっても、なぜ検討するとさえ約束できないのか」との怒りの声が上がりました。

★多様なサービスは「置き換え」でなく「プラスアルファ」とすべき

 堺市案は、これまでの交渉の結果、「現行相当サービスと多様なサービスの併用可能」としてきましたが、このようなやり方は「置き換え」です。社保協側は、「担い手登録」の生活援助の内容・位置づけも含めてこの案を修正し、現在のヘルパーが制度的に提供できないサービスを多様なサービスが補う「プラスアルファ方式」とするよう強く求めました。「プラスアルファを希望されているんですか。そうは思っていない」と当局が答えたため、ヘルパーさんから「要支援の方のサービスは現行通りでも制約があるので、その部分を市が考えてくれて、それを補うものとして担い手型があると思っていたのに…ショックです。これ以上、報酬が下げられたら事業所はやっていけない」と悲痛な思いを訴えました。

★ケアプラン支援会議は白紙だが、「何かやりたい」

 堺市が地域包括支援センター管理者会議で示した「自立支援型ケアマネジメントへの転換」をはかるとした「ケアプラン支援会議」には、多くのケアマネジャーから、「まるでケアマネジャーが自立支援のプランを作成していないかのような言い方だ」「利用者を見たこともないリハビリ職がどのような助言をするのか」「プランを作るときに、必要な場合は、自分たちですでにリハさんなどに聞いている」「私たちは、当然、自立をめざしてQOLの向上をめざして、プランを作っているのです。なぜ、こんな会議をわざわざする必要があるのか」など、ケアマネさんから多くの批判が相次ぎました。

 堺市側は、「ケアプラン支援会議は、地域包括の管理者会議の中で示したもののケアマネジャーからの反発が強いのでこのまま実施できない。白紙の状態」としながら、古下氏は「しかし何かをしなければいけないと考えている」と何回も答えました。堺社保協側は、「白紙と言うならきっぱりと白紙撤回し、ケアマネジャーの意見を一から聞いてケアマネジャー支援は検討しなおすべきだ」と指摘しました。

★はっきりしたことは・・・

 今回の懇談でハッキリしたことは、基準緩和型は実施しないとしながら、担い手登録型というあやふやなもので、これを併用すれば、現行サービス報酬が下がるということです。併用する利点が何もありません。担い手登録型でどんなサービスをするのか、研修の内容等もまだあやふやで、当局自体が、何の責任も感じていない。無責任な上に、本当に介護現場を何にも知っていないと思い知らされた交渉でした。                 【文責 日下部雅喜 大阪社保協介護保険対策委員長】

 

2016年度国保料ほぼ出揃う〜ワースト3は@岸和田市A高石市B池田市。

 今年度の各市町村のモデル国保料が高槻市、河内長野市、岬町を除いて出揃いました。国保加入世帯で最も標準的な200万円世帯でみると、高額順位は@岸和田市A高石市B池田市C阪南市・・・となっています。今年度はBにシングルマザー世帯をいれました。

 昨年大幅値下げをした千早赤阪村は今年、さらに下がり今年も府内で最も安い国保料です。

★岸和田市と千早赤阪村の差は17.3万円(所得200万円モデル@)

 @の40歳代夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯の岸和田市と千早赤阪村の国保料比較をしてみると、岸和田市 443,700円、千早赤阪村 269,980円 となり、その差173,720円となります。

 なお、千早赤阪村の2015年度国保特別会計決算見込みを見ると、収支は1千万円の黒字で、基金は昨年よりも増え16700円となっています。つまり、基金は使わずとも値下げが可能、つまり、そもそも保険料そのものを高くつけていたということです。

 

 2016年度世帯所得200万円モデル国保料

@40歳代夫婦と未成年のこども2人の4人家族

A65歳以上74歳以下の年金生活夫婦

B40歳シングルマザーと未成年の子ども2人の3人家族 

201606大阪社保協調査

 

所得200

 

@

順位

A

順位

B

順位

1

大阪市

365,420

35

279,457

27

365,964

30

2

豊中市

351,641

40

263,454

38

342,570

39

3

池田市

441,484

3

318,028

3

428,745

3

4

豊能町

381,800

25

278,600

29

375,200

19

5

能勢町

371,500

33

283,800

21

366,100

29

6

箕面市

372,943

32

289,387

18

345,769

38

7

高槻市

 

 

 

 

 

 

8

島本町

396,070

20

295,520

14

392,670

13

9

茨木市

373,580

30

271,490

35

366,250

28

10

吹田市

308,430

42

250,830

42

362,760

32

11

摂津市

373,028

31

270,558

36

365,612

31

12

守口市

412,230

11

311,920

5

410,660

8

13

門真市

379,250

27

285,830

20

369,130

23

14

大東市

399,900

18

299,600

12

392,500

15

15

四條畷市

391,030

22

281,570

24

379,750

18

16

寝屋川市

376,100

28

277,200

30

366,400

27

17

枚方市

354,600

39

266,700

37

347,500

37

18

交野市

375,500

29

274,500

34

369,100

24

19

東大阪市

402,479

16

299,990

11

395,015

12

20

八尾市

391,400

21

293,200

15

381,530

17

21

柏原市

419,937

8

310,384

6

413,649

6

22

松原市

419,715

9

308,390

7

412,683

7

23

羽曳野市

389,900

23

283,670

22

382,930

16

24

藤井寺市

403,100

15

301,400

10

397,000

10

25

大阪狭山市

380,007

26

282,352

23

373,727

21

26

富田林市

412,160

12

301,590

9

405,190

9

27

太子町

363,010

36

262,640

39

356,450

34

28

河南町

361,760

37

260,480

40

354,860

35

29

千早赤阪村

269,980

43

177,940

43

263,930

40

30

河内長野市

 

 

 

 

 

 

31

堺市

382,123

24

281,202

25

374,251

20

32

和泉市

412,900

10

279,590

26

369,700

22

33

高石市

441,488

2

323,106

2

429,634

2

34

泉大津市

410,500

13

278,800

28

369,100

24

35

忠岡町

397,800

19

292,100

16

392,600

14

36

岸和田市

443,700

1

336,600

1

437,200

1

37

貝塚市

428,310

5

296,730

13

351,810

36

38

泉佐野市

402,200

17

305,100

8

396,200

11

39

田尻町

361,668

38

275,497

31

357,865

33

40

熊取町

423,019

7

275,111

33

416,122

5

41

泉南市

369,100

34

288,100

19

367,300

26

42

阪南市

432,670

4

314,880

4

426,540

4

43

岬町

 

 

 

 

 

 

平均

388,439

 

284,988

 

370,147

 

 

★昨年度から最も値上がりをしたのは貝塚市 113480

 次に2011年度から今年度までの6年間の所得200万円モデル@の国保料推移をみてみましょう。 昨年度、もっとも値上げとなったのが貝塚市で113480円です。貝塚市は昨年大幅値下げをしましたが、今年は大幅引き上げとなっています。次に大きく値上りとなったのが、豊能町64,100円、熊取町41,536円、八尾市30,670円、池田市29,055円・・・などとなっています。

 一方、引下げとなったのは、高石市▲47,162円、太子町▲42,860円、吹田市▲29,570円などとなっています。

 

★全体的には引下げ11、値上げ25、据え置き4

 全体的には半分以上の自治体で引上げとなっており、昨年からの保険者支援制度の1700億円はいったいどうなってしまったのかと言わざるを得ません。

所得200万円40代夫婦と未成年の子ども2人の4人家族国保料推移

 

 

 

 

 

 

201606大阪社保協調査

年度 

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2016-2015の差額

大阪市

382,157

386,413

400,916

370,504

364,313

365,420

1,107

豊中市

406,455

405,455

393,455

351,641

351,641

351,641

0

池田市

452,022

457,035

457,162

448,273

412,429

441,484

29,055

豊能町

314,000

314,000

314,000

317,700

317,700

381,800

64,100

能勢町

392,600

392,600

376,300

371,500

371,500

371,500

0

箕面市

364,398

397,461

459,498

381,482

380,309

372,943

-7,366

高槻市

295,170

299,540

325,980

311,190

322,600

 

 

島本町

350,650

361,950

395,040

385,800

393,050

396,070

3,020

茨木市

359,960

367,590

389,400

350,730

362,340

373,580

11,240

吹田市

319,590

341,940

370,100

343,370

338,000

308,430

-29,570

摂津市

356,224

356,224

356,224

366,173

373,024

373,028

4

守口市

469,220

499,340

475,420

496,060

418,200

412,230

-5,970

門真市

416,640

416,310

415,220

378,730

378,740

379,250

510

大東市

415,600

415,600

415,600

374,300

374,300

399,900

25,600

四条畷市

387,470

398,810

404,920

374,940

381,100

391,030

9,930

寝屋川市

426,900

424,800

423,500

383,900

381,300

376,100

-5,200

枚方市

344,800

354,300

362,400

339,400

352,800

354,600

1,800

交野市

350,400

376,900

391,300

352,200

364,200

375,500

11,300

東大阪市

419,450

462,130

495,475

447,044

409,889

402,479

-7,410

八尾市

360,680

355,660

384,960

387,950

360,730

391,400

30,670

柏原市

401,367

401,367

423,453

416,173

413,884

419,937

6,053

松原市

428,111

446,698

458,601

417,419

410,034

419,715

9,681

羽曳野市

418,060

417,000

426,170

393,350

387,700

389,900

2,200

藤井寺市

431,800

431,800

438,100

438,100

401,100

403,100

2,000

大阪狭山市

426,280

420,270

420,270

388,700

393,900

380,007

-13,893

富田林市

431,870

431,380

431,380

345,640

390,660

412,160

21,500

太子町

402,350

408,940

404,900

403,800

405,870

363,010

-42,860

河南町

398,080

408,640

417,350

376,730

347,390

361,760

14,370

千早赤阪村

403,050

403,910

344,220

398,860

282,040

269,980

-12,060

河内長野市

409,020

413,650

404,170

422,230

409,490

 

 

堺市

445,432

439,337

448,783

415,940

389,196

382,123

-7,073

和泉市

425,950

425,950

425,950

425,950

412,900

412,900

0

高石市

454,357

472,002

470,425

417,860

488,650

441,488

-47,162

泉大津市

431,000

428,100

422,800

384,600

381,674

410,500

28,826

忠岡町

450,900

443,000

433,900

398,300

395,600

397,800

2,200

岸和田市

395,200

433,600

433,600

423,400

423,400

443,700

20,300

貝塚市

424,410

420,880

404,880

404,880

314,830

428,310

113,480

泉佐野市

453,500

453,500

453,500

414,100

402,200

402,200

0

田尻町

384,380

382,810

371,430

363,354

365,277

361,668

-3,609

熊取町

393,620

401,320

401,320

407,660

381,483

423,019

41,536

泉南市

370,200

415,900

370,320

356,900

355,800

369,100

13,300

阪南市

432,150

454,470

455,300

422,680

420,740

432,670

11,930

岬町

441,280

456,730

401,102

 

427,375

 

 

平均

400,855

409,193

410,902

389,750

381,613

388,586

6,973

※高槻市、河内長野市、岬町については未回答