大阪社保協 FAX通信   1056号 2013.11.28                                      

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1127日社会保障審議会・介護保険部会で厚生労働省提案の最悪の介護保険改悪案うのみの意見書出される!

介護保険制度はじまって以来の大改悪である@要支援者のヘルパー・デイサービスの保険給付外し A2割負担導入等に対し、11月27日に開かれた第53回社会保障審議会介護保険部会の意見書素案では、

@は「以上のとおり、予防給付の見直し全般については、概ね意見の一致を見た。・・・」

Aは「高齢者世代内で相対的に所得の高い方に更なる負担を求めるべきであるという点については、概ね意見の一致を見た一方で・・・」

という表現である。後半に「懸念意見」「反対意見」なども申し訳程度に書かれているが「概ね意見一致」というのが「意見書案」です。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030648.pdf

 

★反対意見は勝田委員のみ

これに対し、委員の中では、完全に反対する意見は、勝田さん(認知症の人と家族の会)ただ一人だったといいます。

 

勝田登志子委員の意見 

8月28日の介護保険部会以来、認知症の当事者団体として、認知症の本人、介護家族の声を発言してきました。残念ながら「介護保険制度の見直しに関する意見(素案)」は、当事者の声はほとんど反映されていなく、今後の介護保険制度や認知症施策に不安を隠せません。憲法25条にいう「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」2項では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」としています。

素案2Pには「今回の制度の見直しは、地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度の持続可能性の確保」の2点を基本的な考え方としています。素案では効率化・重点化を最大のものとして「要支援12 の9割を占める訪問介護と通所介護を介護給付から市町村事業へ丸投げ」や「特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上に限定」など、社会保障の向上や増進とは真逆の方向にあります。

私達はこの間、当事者の声を聞いてほしいと、6 月2日の総会アピールや10月12日の全国支部代表者会議アピールなどを部会や関係団体に提出してきました。特に認知症施策については、65歳以上の15%が認知症であり、13%が軽度認知障害とされている現在、参考資料の119Pでは、2025 年を見据えた第5期計画の中でも、地域包括ケアシステムを構築させる取り組みのスタートとして「認知症支援策の充実」を掲げていますが、地域包括ケアシステムの目玉であり、在宅介護を支える「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の利用は166保険者で4,261人です。第5期介護保険事業計画の実施見込み25年度の目標12,000人の3割にすぎません。

今回の要支援12 のうち、訪問介護と通所介護を市町村事業に移行することには反対です。

地域支援事業の対象となる「軽度認知障害」は400万人であり、5年間放置すれば半数が認知症になると言われています。

市町村事業では、多様な主体による多様なサービスを受けることが出来るとされていますが、このサービスは軽度認知障害の人達には有効なサービスではありません。初期集中支援チームによる対応とありますが、早期診断を担う医療機関数は29年度までで500箇所の目標であり、認知症地域支援推進員も29年度末で700人です。これで400万人の対応ができるのでしょうか、ますます認知症の人が増えることを懸念します。

80Pの地域包括ケアシステムの中核となる「地域包括支援センターの機能強化」では、周知率は3割弱であり、市町村の評価は30.2%となっています。センターの4分の1 は業務量

が過大と認識しており、8Pでは現在の業務に加えて「在宅医療・介護の推進」「認知症施策の推進」「地域ケア会議の推進」「生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化」「全ての市町村における総合事業の実施」を行うとされていますが、今回の改正の大半が地域包括支援センターにゆだねられるといっても過言ではありませんし、これでは職員を倍にしても十分な対応は出来ないと思います。何よりも国家戦略とした「認知症施策推進5か年計画」の大半も集中しています。私達の期待するオレンジプランもこれでは埋没してしまう懸念があります。

特別養護老人ホームを「在宅での生活が困難な中・重度の要介護者を支える施設」と見直すとありますが、要介護12 でも、また要支援認定者でも「在宅での生活が困難な人」は存在

します。また、要介護3 以上に限定してもさまざまな特例を設け、「概ね意見の一致が見られた」とありますが、「特養待機者」を減らすことはできるかも知れませんが、在宅介護をする家族は「いざとなったら特養が利用できる」と心の拠りどころにしている人たちがたくさんいます。要介護3 以上に限定することは、在宅で精いっぱい介護している家族介護者を落胆、失

望させるという影響が懸念されることを強く訴えます。

  傍聴者の報告によると・・・・

「介護保険制度の見直しに関する意見の素案が本日出て、ほとんどの委員から大筋合意という意見が出てしまったので、多少意見があった書きぶりについて、事務局と部会長で修正して次回に出てきて合意って感じの流れが決まったという感じです」とのこと。とんでもない「翼賛」介護保険部会です。

  最悪の介護保険改悪の内容は・・・・(意見書案に何がかかれているのか)

では、意見書分には何が書かれているのか。その他もありますが、ここでは@要支援者はずしA施設入所の際の部屋代食事代の低所得者軽減(補足給付の改悪)B利用料2割化C特別養護老人ホームの重度化(要介護3以上のみ入所)の4点に関しての記述を抜粋します。

 

@   要支援者の介護保険はずし(平成29年度末までに要支援者の訪問介護と通所介護を全て市町村事業に移行)

○ 新しい総合事業の事業構成は、要支援者と介護予防・生活支援サービス事業対象者(従来の二次予防事業対象者)が利用する訪問型・通所型サービス等の「介護予防・生活支援サービス事業」とすべての高齢者が利用する体操教室等の普及啓発等を「一般介護予防事業」とすることが適当である。

○ 新しい総合事業の介護予防・生活支援サービス事業については、以下のとおりとすることが適当である。

・利用手続は要支援認定を受けて地域包括支援センターによるケアマネジメントに基づきサービスを利用することとするとともに、総合事業の介護予防・生活支援サービス事業の利用の場合は、基本チェックリスト該当で利用可能とする。

・事業費の単価については、サービスの内容に応じた市町村による単価設定を可能とする。訪問型・通所型サービスについては、現在の訪問介護、通所介護(予防給付)の報酬以下の単価を市町村が設定する仕組みとする。

・利用料については、地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた利用料を市町村が設定する。ただし、従来の給付から移行するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、一定の枠組みのもと、市町村が設定する仕組みを検討する。利用料の下限については要介護者の利用者負担割合を下回らないような仕組みとする。

・事業者は、市町村が事業者へ委託する方法に加え、あらかじめ事業者を認定等により特定し、当該市町村の一定のルールの下、事業者が事業を実施した場合、事後的に費用の支払いを行う枠組みを検討する。

・利用者個人の限度額管理を実施し、利用者が給付と事業を併用する場合には、給付と事業の総額で管理を行うことを可能とすることを検討する。

A   低所得者の食事代・部屋代(ホテルコスト)軽減の見直し→世帯分離しても×、預貯金調査も

○同一世帯に課税者のいる非課税者が施設入所等に伴い世帯分離をすると単身で非課税世帯となり、補足給付の対象となる点について、配偶者間には他の親族間より強い生活保持義務があることを踏まえ、世帯分離をしても配偶者の所得を勘案する仕組みとし、配偶者が住民税課税者である場合は、補足給付の対象外とすることが適当である。

○次に、資産について、換金しやすい預貯金等とそれが容易ではない不動産を分けて整理することとし、まず、一定額以上の預貯金等がある方を補足給付の対象外としていくことについて、議論を行った。

○ 具体的な実施方法については、市町村の事務負担が懸念されることから、本人の自己申告を基本としつつ、補足給付の申請に際し金融機関への照会について同意を得て必要に応じて介護保険法の規定を活用して金融機関への照会を行うこととするとともに、不正受給の際の加算金の規定を設けるなどして適切な申告を促す仕組みとする必要がある。

○ 預貯金等の基準としては、単身で1000 万円超、夫婦世帯で2000 万円超という基準は妥当であるが、負債がある場合や、生命保険のように保険事故が起こるまで活用できない資産については配慮を行う必要がある。

○ また、同じ資産であっても、直ちに活用のできない不動産については、預貯金等と異なった取扱いとする必要がある。この点については、一定額以上の宅地を保有している場合、在宅での生活を前提としているショートステイを除き補足給付の対象外とし、宅地を担保とした貸付を実施することができないか、検討を進めてきた。こうした事業を実施するためには、貸付の対象者や資産の評価の在り方、受給者が死亡した後の債権の回収方法など、事業を実施する上での課題を更に整理するとともに、市町村が不動産担保貸付の業務を委託することができる外部の受託機関を確保することが必要であり、引き続き検討を続けていくことが必要である。

○ なお、社会保障・税番号制度が今後施行されることから、その施行の状況を踏まえ、同制度を通じた預貯金や不動産の資産の把握についても検討を行っていく必要があるとの意見があった。

○ さらに、遺族年金や障害年金といった非課税年金については、給付の要否などを決める際の課税収入としては算定されないとともに、補足給付の段階の判定に当たっても年金収入としては反映されず、年金額が同じでも給付の額を決定する上での取扱いが異なることとなっている。この点については、補足給付の段階の判定に当たって非課税年金も収入として勘案することが適当であるが、障害年金を勘案することを懸念する意見も一部にあった。

○ なお、市町村の実務を支えるため、非課税年金の情報が市町村に提供される仕組みを検討する必要がある。

B   一定所得(年金収入280万円又は290万円以上)の利用料を2割化

○ 保険財政を支える上では、高齢者自身は第1 号保険料と利用者負担により制度を支えているが、保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、現役世代に過度な負担を求めずに、高齢者世代内において負担の公平化を図っていくためには、1 号被保険者のうち、一定以上の所得のある方について、2割の利用者負担をしていただくことが必要である。

○ 一定以上の所得の水準については、事務局から@ 第1号被保険者全体の上位20%に該当する合計所得金額160 万円(年金収入の場合280 万円)以上A 第1号被保険者のうち課税層(約38%)の上位半分に該当する合計所得金額170 万円(年金収入の場合290 万円)以上の2が示された。

○ また、高額介護サービス費の負担限度額については、要介護状態が長く続くことを踏まえ、基本的に据え置くこととするが、2 割負担となる者のうち、特に所得が高い、高齢者医療制度における現役並み所得に相当する所得がある方については、現行の37,200 円から医療保険の現役並み所得者の多数該当と同じ水準である44,400 円とすることが適当である。

C介護施設の重点化→特養は介護3以上に限定

○重度の要介護状態で、特養への入所を希望しながら、在宅での生活を余儀なくされている高齢者が数多く存在していること等を踏まえると、特養については、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化すべきであり、そのためには、特養への入所を要介護3以上に限定することが適当である。

 

  今回の改悪案はすべて介護保険利用者に負担を強いるもの。次回介護保険部会は1220日。こんな最悪の取りまとめをさせないための声を集中しよう!!葉書もまだあります!!

次回の介護保険部会は12月20日で、そこで「意見書」の取りまとめがされるということになっています。

最悪のとりまとめを許さない声を 厚生労働省社保審介護保険部会事務局へ突き付けましよう!

厚生労働省老健局総務課 kaigobukai@mhlw.go.jp fax03-3503-2740

 

   

生活保護無料電話相談

06-6357-1330

 (特設電話ですので当日しか通じません)

127()8()

いずれも10時〜17

会場 国労大阪会館2階第一小会議室

主催 大阪での生活保護を考える会(大阪社保協・大生連・大阪府保険医協会・大阪府歯科保険医協会・大阪自治労連・大阪民医連)

連絡先 大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)

Tel 06-6354-8662Fax06-6357-0846

osakashapoppy.ocn.ne.jp(fax・メール相談は随時応じます)