大阪社保協通信  1161号 2017.3.8

メールアドレス:osakasha@ poppy.ocn.ne.jp    大阪社会保障推進協議会

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3月1日大阪府統一保険料試算説明会開催〜「この数字はあてにならない信用できない数字」「制度改編による保険料値上げに対する激変緩和は全国統一ルールで」「市町村が法定外繰り入れをすることを府がやめさせることはできない」「保険料決定は市町村長の権限」「決めるにあたって運営方針を尊重していただくことを府として要請」

3月1日、大阪社保協の要請により大阪府福祉部国民健康保険課統括主査による「大阪府国保統一保険料(標準保険料率)試算説明会」が開催されました。

 当日資料は大阪社保協ホームページ「国保都道府県単位化問題」ページにアップしているのでご覧ください。http://www.osaka-syahokyo.com/16kokuken/k20170301b.pdf

 

★大阪府が示した統一保険料率(第一回試算)

 

所得割

均等割

平等割

賦課限度額

医療分

8.79%

34,970

24,976

54万円

後期分

2.60%

10,455

7,467

19万円

介護分

2.41%

12,190

6,292

16万円

★大阪府が試算した一人当必要保険料額

現行保険料とは現在の各市町村の国保賦課総額を被保険者数で割ったもので、必要保険料額とは、各市町村ごと「事業費納付金」を被保険者数で割ったものです。大阪府全体の事業費納付金の計算方法は資料2頁と6頁にあり、43市町村ごとの事業費納付金のシェアは8頁にあります。β=1が全国平均所得水準であり、大阪府81.5とは、大阪府の所得水準が全国の81.5%であるという意味です。

これによると現行保険料より下がるのは、守口市、泉佐野市、泉佐野市、寝屋川市、熊取町、田尻町の6自治体のみです。

なお、この試算では「繰入」をしてないものとして計算しています。この場合の「繰入」とは、決算補填のための一般会計法定外繰入、基金繰入、前年度繰越、繰上充用のことです。決算補填以外の繰入とは保健事業費への繰入、保険料等の減免への繰入、福祉医療制度でのペナルティ分の補填繰入などです。なお、負担緩和のための繰入は決算補填のためのものとして計算にははいっていません。

資料@大阪府標準保険料率第一回試算

一人当/円

大阪社保協作成

 

自治体名

現行保険料

必要保険料

差額

伸び率

府内平均

122,516

132,687

10,171

8.30%

1

大阪市

116,714

128,566

11,852

10.15%

2

堺市

120,272

127,094

6,822

5.67%

3

岸和田市

126,694

131,174

4,480

3.54%

4

豊中市

119,916

146,817

26,901

22.43%

5

池田市

139,488

141,612

2,124

1.52%

6

吹田市

131,798

144,423

12,625

9.58%

7

泉大津市

128,882

130,476

1,594

1.24%

8

高槻市

125,332

144,166

18,834

15.03%

9

貝塚市

114,717

131,951

17,234

15.02%

10

守口市

165,513

124,862

-40,651

-24.56%

11

枚方市

118,432

136,500

18,068

15.26%

12

茨木市

126,597

147,528

20,931

16.53%

13

八尾市

129,134

137,610

8,476

6.56%

14

泉佐野市

135,375

132,151

-3,224

-2.38%

15

富田林市

133,136

134,314

1,178

0.88%

16

寝屋川市

132,767

125,581

-7,186

-5.41%

17

河内長野市

133,221

139,989

6,768

5.08%

18

松原市

121,791

129,541

7,750

6.36%

19

大東市

120,201

125,026

4,825

4.01%

20

和泉市

117,548

137,401

19,853

16.89%

21

箕面市

135,623

154,350

18,727

13.81%

22

柏原市

128,318

135,960

7,642

5.96%

23

羽曳野市

112,934

136,962

24,028

21.28%

24

門真市

105,854

130,794

24,940

23.56%

25

摂津市

126,064

143,838

17,774

14.10%

26

高石市

134,268

135,679

1,411

1.05%

27

藤井寺市

140,511

130,397

-10,114

-7.20%

28

東大阪市

118,032

133,631

15,599

13.22%

29

泉南市

105,032

117,730

12,698

12.09%

30

四條畷市

114,208

134,403

20,195

17.68%

31

交野市

127,598

145,387

17,789

13.94%

32

島本町

142,941

150,688

7,747

5.42%

33

豊能町

136,891

159,801

22,910

16.74%

34

能勢町

119,805

139,177

19,372

16.17%

35

忠岡町

120,647

130,178

9,531

7.90%

36

熊取町

156,786

142,414

-14,372

-9.17%

37

田尻町

153,209

132,682

-20,527

-13.40%

38

阪南市

122,773

129,537

6,764

5.51%

39

岬町

135,809

138,627

2,818

2.07%

40

太子町

120,977

147,896

26,919

22.25%

41

河南町

122,886

145,859

22,973

18.69%

42

千早赤阪村

94,870

147,255

52,385

55.22%

43

大阪狭山市

141,468

144,276

2,808

1.98%

★統一保険料は所得水準で保険料は決まるはずだが・・・・・

統一保険料率とは医療費水準を加味せず、所得水準だけで事業費納付金をシェアします。ごくごく簡単に言うと、保険料の高さは所得水準の高さに比例するはずです。

以下の表は資料@の必要保険料を高い順に並べ替えたものですが、堺市が39位で、その上に32位門真市があり、38位に大阪市があるなど、どう考えてもおかしいデータとなっています。

資料A大阪府標準保険料率第一回試算高い順

一人当/円

大阪社保協作成

 

自治体名

現行保険料

必要保険料

差額

伸び率

府内平均

122,516

132,687

10,171

8.30%

1

豊能町

136,891

159,801

22,910

16.74%

2

箕面市

135,623

154,350

18,727

13.81%

3

島本町

142,941

150,688

7,747

5.42%

4

太子町

120,977

147,896

26,919

22.25%

5

茨木市

126,597

147,528

20,931

16.53%

6

千早赤阪村

94,870

147,255

52,385

55.22%

7

豊中市

119,916

146,817

26,901

22.43%

8

河南町

122,886

145,859

22,973

18.69%

9

交野市

127,598

145,387

17,789

13.94%

10

吹田市

131,798

144,423

12,625

9.58%

11

大阪狭山市

141,468

144,276

2,808

1.98%

12

高槻市

125,332

144,166

18,834

15.03%

13

摂津市

126,064

143,838

17,774

14.10%

14

熊取町

156,786

142,414

-14,372

-9.17%

15

池田市

139,488

141,612

2,124

1.52%

16

河内長野市

133,221

139,989

6,768

5.08%

17

能勢町

119,805

139,177

19,372

16.17%

18

岬町

135,809

138,627

2,818

2.07%

19

八尾市

129,134

137,610

8,476

6.56%

20

和泉市

117,548

137,401

19,853

16.89%

21

羽曳野市

112,934

136,962

24,028

21.28%

22

枚方市

118,432

136,500

18,068

15.26%

23

柏原市

128,318

135,960

7,642

5.96%

24

高石市

134,268

135,679

1,411

1.05%

25

四條畷市

114,208

134,403

20,195

17.68%

26

富田林市

133,136

134,314

1,178

0.88%

27

東大阪市

118,032

133,631

15,599

13.22%

28

田尻町

153,209

132,682

-20,527

-13.40%

29

泉佐野市

135,375

132,151

-3,224

-2.38%

30

貝塚市

114,717

131,951

17,234

15.02%

31

岸和田市

126,694

131,174

4,480

3.54%

32

門真市

105,854

130,794

24,940

23.56%

33

泉大津市

128,882

130,476

1,594

1.24%

34

藤井寺市

140,511

130,397

-10,114

-7.20%

35

忠岡町

120,643

130,178

9,535

7.90%

36

松原市

121,791

129,541

7,750

6.36%

37

阪南市

122,773

129,537

6,764

5.51%

38

大阪市

116,714

128,566

11,852

10.15%

39

堺市

120,272

127,094

6,822

5.67%

40

寝屋川市

132,767

125,581

-7,186

-5.41%

41

大東市

120,201

125,026

4,825

4.01%

42

守口市

165,513

124,862

-40,651

-24.56%

43

泉南市

105,032

117,730

12,698

12.09%

★「市町村が計算を間違えてるので精査する」「全くあてにならない信用ならない数字です」

所得水準が間違っていないかとの問いに対しては「そうなんです。数字は間違っています」「賦課限度額を超えたものを控除したデータになるはずですが、市町村が計算を間違っているので府として精査していきたい」との大阪府からの回答がありました。

しかし、堺市のように大きい自治体の所得シェアが違ってくるとなると当然全体に大きな影響がでるのは必至です。大阪府からは「全くあてにならない信用にならない数字なんです」との声まででる始末。

都道府県単位化のもとでの保険料計算は大阪府全体で計算をするので、どこかが下がればどこかが上がるという仕組みとなります。つまり、1自治体でも間違いがあれば保険料は変わってしまうこととなるのです。果たして正確なデータというものが市町村から出されるのだろうかと疑問を持たざるをえません。

★「市町村の繰入を大阪府がやめさせることはできない」「権限は市町村長に」

保険料率が統一であろうとなかろうと、被保険者の所得水準が高い自治体は保険料が高くなります。さらに、保険料負担の軽減のために一般会計法定外繰入を多くしている自治体は保険料が高くなります。いずれにしても、被保険者にとっては国保料値上げは大きな負担となります。

この事態に対してどのような対策があるのかという点について、「制度(改変)によって保険料が上がるところに対しては大阪府全体の公費で激変緩和を行う。ただし、それは繰入をしない場合での保険料に対して上がる場合であり、現在国が全国統一のルールを検討している。繰入をして保険料が安くなっていて値上がりをする場合は市町村において激変緩和をしていただく」と回答しました。

ただ、注目すべき発言もありました。

「独自に法定外繰入は可能か」との問いには「市町村の市町村が法定外繰り入れをすることを府がやめさせることはできない」「保険料決定は市町村長の権限」と回答したのです。ただし、「決めるにあたって運営方針を尊重していただくことを府として要請する」としましたが。

1年前のレクチャーでの発言との違い

ちょうど1年前の2016224日に、同じ総括主査からレクチャーを受けました。この内容は以下です。「一般会計法定外繰入金は赤字という扱いなので2017年度中にやめていただきたい」「一般会計法定外繰入は国は赤字といっているので、赤字解消については大阪府が指導していかざるを得ない」「大阪府が決めたことを市町村が変えるということはおそらくできないだろう」・・・・こうしたいい方をしなくなっていることに注目する必要があります。

 

2016.2.24 大阪府レクチャー概要】

2018年度から国保の保険者は大阪府と市町村になる。国民健康保険証は「大阪府国保証」となる。

□大阪府が財政に責任をもち(大阪府には莫大な国保特別会計ができ、さらに基金ができる)、市町村は国保実務や保険料徴収をひきつづき行う。

□市町村国保特別会計には国庫支出金や前期高齢者交付金、大阪府支出金などが殆ど入らなくなる。

□大阪府は一年分の大阪府内で必要な医療費から国庫支出金や前期高齢者交付金などの収入を引いた「事業費納付金(納付)」を計算し、それを43市町村ごとに割り振り、さらに「標準保険料率」を割り出す。

□納付金と標準保険料の考え方の案は国から出されているが、大阪府は2010年当日の橋下知事と首長の申し合わせ「大阪府統一国保を目指す」にあわせ、「統一保険料率」をめざして、現在「大阪府・市町村国保広域化調整会議」および財政運営検討ワーキングキング(保険料をどうするか)と事業運営検討ワーキング(保険事務やをどうするか)で検討しており、3月末には考え方を一定まとめるつもりでいる。

2017年度中には「大阪府国民健康保険運営方針」を策定し、納付金や標準保険料の算定方式、実務や独自減免のルールを定める。

□統一保険料とは、大阪府の各市町村どこでも同じ保険料率ということ。

□大阪府が統一保険料を可能とする根拠は、「大阪府内市町村の医療費格差は最大1.2倍なので医療費格差はないから」。

□一般会計法定外繰入金は赤字という扱いなので2017年度中にやめていただきたい。

2017年度中に赤字を解消してもらわないといけない。赤字は都道府県国保にもってはいけない。

□基本的に大阪府が決めた保険料率で市町村がいくというのがいまの考え方。

□大阪府国保運営方針で決めたことは義務ではなく尊重しなければならない。

□法律上、違反することはできるが尊重していただく。

□大阪府が決めたことを市町村が変えるということはおそらくできないだろう。

□一般会計法定外繰入は国は赤字といっているので、赤字解消については大阪府が指導していかざるを得ない。

□今回の統一保険料については、大阪府が率先してやっているのではなく、もともと市町村から言い出したこと。

 

★次の試算は8月、そして10月仮係数試算、12月本計算スケジュールはあまりに乱暴ではないか

 大阪府自らが「あてにならない」と言い切った今回の試算ですが、では次にもう少しきちんとした試算がいったいいつ実施されるのか。大阪府が挙げているのは8月です。これは国が全国的にも試算が正しくされていないために新たに設定した第3回試算です。

しかし、これはあまりに乱暴だと言わざるを得ません。

 説明会で、昨年12月の第1回試算が出来なかった原因である「システムの不具合」について、「簡易システムでは統一保険料が計算出来なかった」と大阪府が回答しました。現在はシステム改修がされ計算出来るようになっています。しかし、今回、「あてにならない数字」が出されたのは、システムのせいではなく、市町村からのデータがそもそも間違っていたためです。これは市町村からのデータ再提出で再試算が出来るはずですので、8月まで待たず、6月頃に2回目の試算をすべきです。

★いずれにしても標準保険料は高く設定されると見るべき〜大阪社保協として5月緊急国保キャラバン実施を展望

 次の試算がどうなろうとも、大阪の市町村は負担緩和のための法定外繰入をしている自治体が多く、当然一人当必要保険料は高くなります。さらに、この試算は赤字も黒字もないフラットの状態での計算がされます。

国保都道府県単位化まであと1年です。秋からは自治体は実務的な準備に入りますので、実際のたたかいはあと、半年です。

試算値に一喜一憂することなく、市町村として被保険者が払える保険料がどうあるべきだと考えるのか、払えない保険料であればどうするのを市町村に迫っていく必要があります。

先に開催された大阪社保協第27回総会では、国保都道府県単位化問題での緊急キャラバン実施について意思統一しました。具体的な内容はこれから開催される以下のブロック会議での検討となりますので、各地域社保協のみなさんは必ずご参加ください。

【今後のブロック会議日程】

317日(金)河南ブロック会議(1000- 松原民商)

43()泉州ブロック会議(14:00-岸和田市総合福祉センター)

47() 北摂豊能ブロック会議(1400- 吹田市さんくすほーる)

417()北河内ブロック会議(14:00-けいはん医療生協)