大阪社保協通信  1160号 2017.2.27

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3割負担、市町村に要介護認定抑制競争押しつけ、問題多い「共生型サービス」こんな法案は通させるわけにはいかない!

2.20厚生労働省の法案レクチャーで浮き彫りになった問題点

 2月20日午後、大阪社保協の提起で、介護保険法改定法案等についての厚労省の各担当課が説明するレクチャーが行われました。これには中央社保協や各中央団体も出席し、総勢40人規模となりました。また、日本共産党の堀内照文衆議院議員も同席されました。

家計データも財政効果試算もなしに持ち込まれた「3割負担」

 制度開始以降15年間「1割」負担であった利用料が、2015年8月に2割負担が導入され、今回「3割」負担が法案に盛り込まれました。

 厚労省は、「国民の意見を聞かないのか」との質問には「国会で議論していただく」としか答えず、さらに、「負担できるかどうか高齢者の家計調査のデータはあるか」との問いには「今回特にありません」と回答しました。さらに「財政効果はいくらか」との問いには「平成30年度予算の段階で精査するので今はない」と答えるなど、負担増を押し付ける法案でありながら根拠となる家計データも財政効果試算さえないものであることが明らかになりました。

 質疑の中で「審議会の最終盤で突如3割負担が出てきた。40歳〜64歳の保険料の納付方法を変更(加入人数割⇒報酬割)するために、65歳以上の利用者に3割負担を入れたのではないのか」という疑問に対してもまともに答えませんでした。

最終盤にバタバタと入れた3割負担案であるため、その線引き(所得基準)も後になってつじつま合わせに手直しをするなど、非常に乱暴な負担増案です。厚労省は「負担増になる人は3%程度」と強調しましたが、いったん3割負担が入ってしまえば、その「線引き」は政府の手による「政令」で変えることができます。今後国会通過を許さないたたかいが必要です。

65歳問題、矛盾に満ちた厚労省答弁

 レクチャーには障害者団体の方も多く参加され、利用者負担問題について質問しました。「障害者自立支援法訴訟での基本合意で、『応益負担(1割)を導入したことについて障害者の尊厳を傷つけた』として謝罪した厚労省が、介護保険で3割負担を入れることについてどう考えるのか」との質問に、厚労省は、「基本合意は守る」としながら、介護保険の負担増については「必要なこと」と答える許しがたい態度を示しました。さらに、今回障害者総合支援法改定で、65歳で介護保険優先原則により1割負担が課せられる障害者に「軽減措置」を取られるが、「なぜ、介護保険の軽減でなく、障害施策からの給付という方法をとるのか」との質問にもまともに答えられず、さらに、介護保険優先原則の根拠について聞かれると「自助・互助・共助・公助の順であり、まずは共助(保険)優先で」などという手前勝手な議論に終始しました。

 

市町村に給付削減、要介護認定抑制競争をあおる危険な仕組み

 今回の法案名称は「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」となっています。「地域包括ケアシステムの進化・推進」とされている中身は「保険者機能の抜本強化」というものです。

「全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止に向けて取り組む仕組みの制度化」として@国から提供されたデータを分析の上、介護保険事業計画を策定。計画に介護予防・重度化防止等の取組内容と目標を記載 A都道府県による市町村に対する支援事業の創設B財政的インセンティブの付与(実績評価に基づく交付金)というものです。

 これについて厚労省は「給付費が高いのが悪くて低いのがいいとは思っていない」「要介護認定率が落ちたかどうかを指標にはしない」としながら、「要介護状態の改善度合い」を指標に入れるとも回答しました。実際、厚労省の法案説明資料には、和光市と大分県の要介護認定率が下がったことが「先進的取り組み」と紹介されています。また、大阪府が、年齢調整後の「一人当たり給付費」「要介護認定率」で全国47都道府県中ワースト1との資料を出し、その原因として「介護事業者が多数存在し、利用者が必要以上にサービスを利用しすぎる側面と、事業者が需要を掘り起こす側面の両面が想定される」などという決めつけを行っていることについて、厚労省の見解を聞くと「大阪府の例は承知している。よく分析されている」などと述べました。

 また法案にある新たな交付金(財政的インセンティブ)については、その額も明らかにせず、現在の25%の国負担と別枠かどうかもはっきりしない回答でした。

 この「制度化」により、市町村は「自立支援・重度化防止」の目標を決めることを強制され、実績を上げないと交付金がもらえない仕組みが出来上がることになります。市町村をして要介護認定抑制を競わせるような仕組みは「地域包括ケアシステム強化」などと言えるものではありません。

基準・報酬などはすべてこれから検討 新しい介護保険施設「介護医療院」

慢性期の医療・介護ニーズへの対応のため、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ」や「看取り・ターミナル」等の機能と、「生活施設」としての機能を兼ね備えた、新たな介護保険施設として「介護医療院」が法案に介護保険施設として追加されました。その基準や報酬について質問すると、「介護給付費分科会で議論する」としか答えず具体的な内容は示されませんでした。

地域住民の互助すすめる「我が事・丸ごと」地域共生社会

 社会福祉法改定も法案には盛り込まれ、市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制作り、福祉分野の共通事項を記載した地域福祉計画の策定の努力義務化などがその内容です。厚労省担当者の説明を聞いても肝心の市町村の体制をどう作るかについてはさっぱり中身が示されず、地域住民の「参加」と「互助」にもっぱら期待する中身でした。

★共生型サービスは「介護保険優先原則」の対象となるサービスだけ

介護保険法・障害者総合支援法・児童福祉法において「共生型居宅サービス事業者」に係る特例が新設されました。その対象サービスについて質問すると、厚労省は、障害者が65歳なった場合、介護保険優先となるが@利用者負担問題、A介護保険事業所を変わらなければならないという問題のうち、Aの課題を解決するために共生型サービスを位置付けた。「したがって対象となるサービスは介護保険優先原則の適用となるサービスが対象で、ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイの3つのみである」と回答しました。しかし、障害児のデイサービスに高齢者が通所することも想定され、「障害サービスと高齢サービスの専門性はどうするのか」との質問には「これから検討する」とに無責任な返答でした。

★こんな法案は通させるわけにはいかない!

 厚労省は「地域包括ケアシステム強化法」などと呼んでいますが、内容は、地域包括ケアシステムどころか、市町村を給付抑制・要介護認定率抑制競争へと駆り立てる仕組みを導入し、利用者には3割負担を導入し、さらに障害児者サービスとの一本化による質の低下など問題だらけの法案です。こんな法案は通すわけにはいきません。              (文責 日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員長)

 

34日大阪社保協「第27回総会」にご参加を!!

大阪社会保障推進協議会はこのたび「第27回総会」を開催する運びとなりました。出来るだけ多くの団体・地域社保協・個人会員のみなさんからの発言をいただき、しっかりとした議論をする総会にしたいと考えています。当日資料配布希望の団体は当日12時までに100セット会場にお持ちいただき袋詰め作業にもご協力ください。昼食も用意いたします。(事前にお知らせください)

                                                     

1.日        201734日(土)午後1時開場/2時開会/515分閉会

  2.場        大阪府保険医協会M&Dホール5階 ※地図ご参照ください

  3.報告と議案   (1)報告〜2016年度活動報告、決算報告、会計監査報告

                  (2)議案 

第1号議案 社会保障をめぐる情勢と2017年度活動方針()

                第2号議案  2017年度予算()

                第3号議案  2017年度役員体制(案)

  4.資料代      無料

  5.発言の準備について

      当日の総会での発言については「発言通告制」になります。全体討論は1人5分で15人程度を予定しています。発言の準備をお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大阪府統一国保問題

標準保険料率試算説明会と意思統一集会

 

 216日大阪府国保担当課長会議、17日の大阪府市長会において、「新たな国保制度における『市町村標準保険料率』の仮試算結果について」大阪府より説明が行われ、新聞報道もされました。

 大阪社保協としては従前より、大阪府に対して試算出来次第、説明会を開催していただくよう要請しておりご快諾をいただいておりました。

今回、以下の日程で大阪府による説明会を実施することとなりましたのでご案内いたします。なお、資料印刷と会場の規模の関係上、必ず事前に下記の参加申し込みをfaxまたはメールしていただきますようお願いいたします。

なお、説明会終了後、一時間程度意思統一のための会議も予定しておりますので、必ずお残りください。

 

□日時 201731()午後2時〜4時 全体は5時終了

    ※説明会は2時間、その後1時間程度の意思統一会議を開催

□会場 大阪府保険医協会

    アクセスhttp://osk-net.org/map.html

□内容 大阪府国保課主査による「市町村標準保険料」に関する説明

□主催 大阪社会保障推進協議会

     06-6354-8662 fax06-6357-0846 

メールosakashapoppy.ocn.ne.jp

 

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