大阪社保協通信   1154号 2016.12.12

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大阪「子どもの生活実態調査」子ども調査(5・中2)でわかること〜市町村独自データを作ってみました。

大阪府および府内13市町(大阪市、堺市、和泉市、泉佐野市、門真市、枚方市、八尾市、豊中市、吹田市、能勢町、富田林市、大阪狭山市、柏原市)がこの夏に「子どもの生活実態調査」を実施しました。

 調査内容ですが、基本は、大阪府が作った調査票で小学5年生と中学2年生の子どもとその保護者に調査票を配布し郵送で回答を得るものですが、自治体によっては、5歳児や高校生調査も行っています。

大阪府と大阪市、堺市、門真市、枚方市、八尾市、豊中市、吹田市の各市は既に中間集計をホームページ上にアップしています。

3月末に詳細な集約(おそらく、所得もいれたクロス集計か?)が発表される予定ですが、この中間集計を使って、各自治体比較をすることができます。

今回は、小5と中2の子ども自身の回答集計のうつ3つのデータを使って簡単な自治体比較をしてみました。これによって、各市町村の子どもの状態が鮮明にわかりますので、以下報告します。

なお、大阪府のデータは13自治体を除くデータです。

★子どもの食に関すること〜毎日毎食食べることのできない子どもの実態

以下は、子どもの食に関する回答です。

子どもにとっての朝食、昼食、夕食は33度食べなければならないものであることから、毎回食べることのできない子どもは「欠食児童・生徒」と見るべきです。

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査 中間集約)一覧@食に関すること

2016.12大阪府及び各自治体調査に基づき大阪社保協作成

 

小中学生数(2016.4.1)

朝食

学校のない日の昼食

夕食

毎日食べる

毎日食べることができない子ども数

必ず食べる

毎回食べることができない子ども数

毎日食べる

毎日食べることができない子ども数

大阪府

 

92.0%

 

87.0%

0

99.1%

0

大阪市

166,536

86.5%

22,482

79.9%

33,474

97.7%

3,830

堺市

67,553

89.9%

6,823

87.3%

8,579

99.2%

540

門真市

8,565

79.5%

1,756

67.5%

2,784

95.5%

385

豊中市

30,986

91.6%

2,603

85.5%

4,493

98.5%

465

吹田市

29,686

94.3%

1,692

87.8%

3,622

99.0%

297

八尾市

21,020

92.3%

1,619

85.2%

3,111

99.0%

210

枚方市

32730

93.2%

2,226

86.4%

4,451

99.1%

295

平均/合計

357,076

89.9%

39,200

83.3%

60,513

98.4%

6,023

小中学生数は2016年度大阪社保協自治体キャラバン行動事前市町村アンケート回答による

 

朝食を毎日必ず食べることができている子どもは現時点での平均は89.9%で、10.1%の子どもが食べることができていません。市町村ごとでみると門真市ではなんと20.1%、つまり5人に一人は毎日朝食を食べることができていないのです。

昼食は月曜日から金曜日は基本、給食で確保できているわけですが、土日及び長期休暇は給食がありません。その時の昼食を毎回食べことができている子どもは平均で83.3%、欠食は16.7%にものぼります。昼食に関しても門真市では32.5%、つまり3人に1人が欠食という深刻なデータとなっています。

夕食でも毎回食べることのできない子どもが平均で1.6%あり、門真市では4.5%もいます。

食のデータでは、欠食児童の割合は門真市が一番多く、次いで大阪市、八尾市となっています。

小中学生数は今年の自治体キャラバン行動事前調査で得た数字ですので、こうした欠食児童の割合をかけて具体的な欠食児童数として計算しています。

 

★子どものからだとこころに関すること

ここでは、子ども自身が訴える体調の悪さと不定愁訴をみることができます。

体調に関する質問で見ていくと、平均では「よく頭が痛くなる」14.9%、「歯が痛い」2.7%、「よくお腹が痛くなる」18.9%、「よく風邪をひく」3.9%、「よくかゆくなる」21.4%と体調の悪い子どもが多いことに驚かされます。

こころに関する質問でみていくと、「眠れない」11.5%、「不安な気持ちになる」19.2%、「まわりが気になる」18.6%、「やる気がおきない」25.2%、「イライラする」25.3%となっています。

特にこころに関する不定愁訴は、「うつ症状」に似ており非常に深刻です。

ここでも、門真市の割合がどの項目でも抜きんでて高いく、次いで大阪市、八尾市となっています。

また、どの自治体でも「やる気が起きない」と「イライラする」が殆ど同じ数字であることも注目すべきです。

 

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Aからだ・こころに関すること

2016.12大阪府及び各自治体調査に基づき大阪社保協作成

 

小中学生数(2016.4.1)

眠れない

よく頭が痛くなる

歯が痛い

不安な気持ちになる

割合

子ども数

割合

子ども数

割合

子ども数

割合

子ども数

大阪府

 

9.3%

0

13.1%

0

2.4%

0

16.0%

0

大阪市

166,536

11.9%

19,818

16.1%

26,812

2.8%

4,663

19.3%

32,141

堺市

67,553

 

 

 

 

 

 

 

 

門真市

8,565

15.2%

1,302

16.9%

1,447

3.0%

257

24.6%

2,107

豊中市

30,986

10.8%

3,346

15.2%

4,710

3.0%

930

18.1%

5,608

吹田市

29,686

11.5%

3,414

13.9%

4,126

2.7%

802

17.5%

5,195

八尾市

21,020

11.8%

2,480

16.1%

3,384

3.2%

673

20.3%

4,267

枚方市

32730

10.1%

3,306

13.3%

4,353

2.0%

655

18.7%

6,121

平均/合計

357,076

 11.5%

33,666

14.9%

44,833

2.7% 

7,978

19.2%

55,440

※堺市はこの調査を行っていない

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Aからだ・こころに関すること2

 

小中学生数(2016.4.1)

よくお腹が痛くなる

よくかぜをひく

よくかゆくなる

 

割合

子ども数

割合

子ども数

割合

子ども数

 

大阪府

 

17.2%

0

3.1%

0

20.8%

0

 

大阪市

166,536

19.8%

32,974

4.8%

7,994

20.7%

34,473

 

堺市

67,553

 

 

 

 

 

 

 

門真市

8,565

19.3%

1,653

6.1%

522

19.5%

1,670

 

豊中市

30,986

20.4%

6,321

3.6%

1,115

22.4%

6,941

 

吹田市

29,686

18.1%

5,373

3.1%

920

19.9%

5,908

 

八尾市

21,020

20.2%

4,246

4.2%

883

25.2%

5,297

 

枚方市

32730

17.5%

5,728

2.7%

884

18.0%

5,891

 

合計

357,076

18.9% 

56,295

3.9% 

12,319

21.4% 

60,180

 

※堺市はこの調査を行っていない

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Aからだ・こころに関すること3

 

小中学生数(2016.4.1)

まわりがきになる

やる気がおきない

イライラする

 

割合

子ども数に換算

割合

子ども数に換算

割合

子ども数に換算

 

大阪府

 

15.1%

0

23.0%

0

23.7%

0

 

大阪市

166,536

19.3%

32,141

24.6%

40,968

25.7%

42,800

 

堺市

67,553

 

 

 

 

 

 

 

門真市

8,565

21.2%

1,816

29.3%

2,510

29.4%

2,518

 

豊中市

30,986

18.1%

5,608

24.7%

7,654

24.3%

7,530

 

吹田市

29,686

17.3%

5,136

24.8%

7,362

24.1%

7,154

 

八尾市

21,020

20.6%

4,330

28.2%

5,928

29.0%

6,096

 

枚方市

32730

18.4%

6,022

21.8%

7,135

20.9%

6,841

 

合計

357,076

18.6% 

55,054

25.2% 

71,556

25.3% 

72,938

 

※堺市はこの調査を行っていない

 

★みんなが持っているものを持ってない子どもたちがどれくらいいるか

 みんなが持っているものを持っているかどうか、これはユニセフが行っている国際的な調査「先進国における子どもの幸福度調査」の中のひとつ、「子どものはく奪率調査」という指標です。

はく奪率調査は、各国の子どもで以下の8つの品目のうち、2つ以上の品目をもたない子どもがどれだけいるかでこどもの幸福度・貧困度を図ります。

【子どものはく奪率 8つの品目】

@本A屋外レジャー用品B屋内ゲームC修学旅行や学校行事の参加費D宿題をするのに十分な広さと照明がある場所Eインターネットへの接続F新品の衣類G誕生日、クリスマスなどのプレゼント

 

 

今回の調査では、この「はく奪率」の指標に類似した品目を持っているかどうかを子どもたちに聞いています。

ここでも、門真市の子どもたちが持っている割合が低いということが分かりますが、この項目では大阪市、八尾市以外に堺市の「持ってない率」が高いことが分かります。

 

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Bもちもの1

 

 

小中学生数(2016.4.1)

マンガ雑誌

自分だけの子ども部屋

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

大阪府

 

79.2%

20.8%

0

77.3%

22.7%

0

78.7%

21.3%

0

大阪市

166,536

70.4%

29.6%

49,295

74.7%

25.3%

42,134

70.9%

29.1%

48,462

堺市

67,553

75.0%

25.0%

16,888

78.3%

21.7%

14,659

69.1%

30.9%

20,874

門真市

8,565

58.1%

41.9%

3,589

69.9%

30.1%

5,987

72.8%

27.2%

2,330

豊中市

30,986

83.7%

16.3%

5,051

80.3%

19.7%

24,882

76.9%

23.1%

7,158

吹田市

29,686

82.7%

17.3%

5,136

80.8%

19.2%

23,986

79.3%

20.7%

6,145

八尾市

21,020

75.2%

24.8%

5,213

78.0%

22.0%

16,396

75.7%

24.3%

5,108

枚方市

32730

82.0%

18.0%

5,891

79.8%

20.2%

26,119

79.1%

20.9%

6,841

合計

357,076

75.8%

24.2%

91,062

77.4%

22.6%

154,162

75.3%

24.7%

96,917

 

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Bもちもの2

 

小中学生数(2016.4.1)

インターネットにつながるPC

運動用具

ゲーム機

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

大阪府

 

41.9%

58.1%

0

78.7%

21.3%

0

83.3%

16.7%

0

大阪市

166,536

38.1%

61.9%

103,086

72.9%

27.1%

45,131

81.9%

18.1%

30,143

堺市

67,553

37.4%

62.6%

42,288

81.1%

18.9%

12,768

84.2%

15.8%

10,673

門真市

8,565

32.9%

67.1%

5,747

72.3%

27.7%

2,373

80.0%

20.0%

1,713

豊中市

30,986

47.0%

53.0%

16,423

80.3%

19.7%

6,104

81.2%

18.8%

5,825

吹田市

29,686

46.3%

53.7%

15,941

80.8%

19.2%

5,700

82.5%

17.5%

5,195

八尾市

21,020

38.7%

61.3%

12,885

80.3%

19.7%

4,141

84.4%

15.6%

3,279

枚方市

32730

42.8%

57.2%

18,722

80.2%

19.8%

6,481

84.5%

15.5%

5,073

合計

357,076

40.6%

59.4%

215,092

78.3%

21.7%

82,697

82.8%

17.3%

61,902

 

 

大阪子どもの生活実態調査(5・中2子ども調査中間集約)一覧Bもちもの3

 

 

小中学生数(2016.4.1)

自転車

スマホ・タブレット

自分で選んだ服

 

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

持っている割合

持ってない割合

持ってない子ども数に換算

 

大阪府

 

93.7%

6.3%

0

55.7%

44.3%

0

71.0%

29.0%

0

 

大阪市

166,536

91.7%

8.3%

13,822

60.7%

39.3%

65,449

68.2%

31.8%

52,958

 

堺市

67,553

93.6%

6.4%

4,323

59.3%

40.7%

27,494

69.2%

30.8%

20,806

 

門真市

8,565

91.3%

8.7%

745

67.1%

32.9%

2,818

65.2%

34.8%

2,981

 

豊中市

30,986

92.5%

7.5%

2,324

52.0%

48.0%

14,873

72.9%

27.1%

8,397

 

吹田市

29,686

93.9%

6.1%

1,811

50.3%

49.7%

14,754

73.2%

26.8%

7,956

 

八尾市

21,020

95.0%

5.0%

1,051

56.0%

44.0%

9,249

70.7%

29.3%

6,159

 

枚方市

32730

93.7%

6.3%

2,062

54.2%

45.8%

14,990

72.0%

28.0%

9,164

 

合計

357,076

93.2%

6.8%

26,139

56.9%

43.1%

149,627

70.3%

29.7%

108,422

 

 

★なぜ子どもにとって持つべきものを持つことが重要なのか

ユニセフがなぜ、「はく奪率」を「子どもの幸福度調査」にの指標にしているのでしょうか。それは多くの子どもが「普通に持っているもの」を持つことが子どもの幸福感につながるからです。

ユニセフの「はく奪率」調査では「クリスマスや誕生日のプレゼント」がありますが、こうした子どもたちの持ち物は、親や親族からのプレゼントという形で渡されることが普通です。持ってない子どもたちの中にはプレゼントをもらったことのない子どもたちがいます。この調査ではわかりませんが、シンママ大阪応援団でSOSを伝えてきているシンママさんたちからは「お金がなくて、クリスマスプレゼントやお年玉をあげることができない」という声は普通に聞かれます。

 

★門真市の保護者の貧困状態が子どもたちのこころとからだに反映

今回の大阪府、大阪市、堺市、門真市、枚方市、八尾市、豊中市、吹田市の子ども調査では、明らかに門真市での子どもたちの状況が抜きんでて深刻であるという状況がはっきりとあらわれました。保護者調査では収入、所得も聞いていますので、クロス集計をすればさらに明らかになるとは思いますが、大阪府内で門真市の保護者の貧困状況が、子どもたちのからだやこころに反映していることが簡単に予想できます。

★大阪市堺市は区ごとのデータ分析が必要

なお、大阪市や堺市は全体の平均でしかありません。大阪市は24区、堺市は7区ごとのデータを分析する必要があります。本日、大阪市に対して24区ごとの中間集約を公開請求したところすぐに連絡があり、3月末には区ごとのデータを報告するとのことでした。

大阪社保協では、今回はまた簡単なしていませんが、さらに13のうち残りの自治体データや保護者回答データなどの入力、分析を進め、みなさんにお知らせしていきます。