大阪社保協FAX通信   1127号 2016.2.9

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「大阪市介護保険新総合事業学習会」に180人が参加。「もっと事業者の声を聞いてほしい」「訪問介護は無資格でできる仕事ではない」「要介護状態にならないよう必死で現場で支えているのは専門職だ」「要支援だからといって何でもできると思わないでほしい」・・・事業者・利用者から寄せられた声を大阪市に提出、3月中交渉を要望します。

 昨日28日、大阪社保協・大阪市内ブロック主催「大阪市介護保険新総合事業を学ぶ学習会」を開催、180人が参加しました。参加者の内訳は、1/2は訪問介護事業所、1/4は通所介護事業所からの参加でした。

127日「大阪市社会福祉審議会高齢者専門分科会」での担当課長説明(要旨]を再現

大阪市が127日の標記の分科会で初めて新総合事業の類型や報酬を公にしたことは「fax通信  1125号(127日付)ですでにお知らせしました。

http://www.osaka-syahokyo.com/fax/1125.pdf

実は、この学習会には大阪市として出席しこの内容について説明をしてほしいと要請をしていましたが、日程が合わないことを理由に断りがあったため、当日の大阪市福祉局高齢福祉課在宅サービス担当課長河合課長説明(要旨)の再現をまず行いました。

★日下部・大阪社保協介護保険対策委員から基調報告・提案「大阪市介護保険新総合事業()〜検証! 介護事業者と利用者を守れるのか」

大阪市新総合事業案は、訪問介護・通所介護とも、@現行相当サービスとA基準緩和サービスの2種類で、基準緩和サービスは、既存事業所に「基準緩和したサービス」をやらせるというものです。

○ホームヘルパー(訪問型サービス)〜無資格ヘルパー

要支援が93%が掃除洗濯調理買物など生活援助だとして、無資格者による「生活援助型訪問サービス」を新設し、指定事業者に担わせる。報酬は現行の介護予防訪問介護より25%ダウン。

○デイサービス(通所介護)〜短時間サービス

3時間未満の「短時間型通所サービス」として、指定事業者に担わせる。報酬は現行の介護予防通所介護より30%ダウン。

 ○安物サービスだけ提示

利用者の実態も見ず、事業者や介護従事者の声も聞かないまま、「安物サービス」だけを提案しました。とくに、訪問型サービスは、新規利用者で身体介護がない人はほとんどが、単価の大幅に低い「生活援助型」の対象となってしまう考え方も示されました。無資格者には「一定の研修を市が実施」とされましたが、その内容はこの会議では一切示されませんでした。どのような人材が確保できるのかまったく不透明です。

また、短時間型通所サービスも「入浴のための通所」「リハビリ特化型デイ」など3時間未満はそれだけで報酬が大幅に下がり、昨年4月の20%もの報酬引下げに加えてさらに大きな引下げは通所介護事業所にとって命取りになりまません。

★大阪社保協からの3つの行動提起

 大阪市のこの「案」を撤回させ、横浜市や倉敷市のように「既存サービスのみ」「報酬引き下げもなし」での新総合事業とするためには、この案を社会問題化し、大きな声を大阪市に挙げていくことがなによりも重要です。

 大阪社保協からは3点の行動提起を行いました。

 

 @大阪市に本日の集会名での「要望書」を早速提出し、介護事業者参加での交渉を設定させる。

 A事業者の意見を聞こうとしない大阪市に対して、本日の参加者からの「声」を届ける。

 B捨ておこうとされている要支援の利用者の声を事業者のみなさんがあつめ大阪社保協に集中  

  を。

 

100枚の「参加者からの声」カード寄せられる

 集会参加者から寄せられた「声」の一部を紹介します。明日、大阪市に要望書とともに提出します。

 

○要支援だから何でもできるも自己負担できると思わないでください。介護の支援でその日の生活、いのちをつなげている人はたくさんいます。その人たちの命綱となっている既存サービスをなくさないでください。

20154月の介護報酬改定によって訪問介護事業所と小規模通所介護事業所を中心に大幅な経営悪化に追い込まれています。また、地域の介護利用者を地域から支えているのはそうした事業所です。更に走行事業の実施によって25-30%以上の報酬が引き下げられれば事業所の存続ができないばかりか、地域の高齢者の「くらし」そのものが続けられなくなります。少なくともこれまで通りの報酬をもとにしたサービスをお願いします。

○前年の報酬改定でただでさえ収入が減っているのに、さらに減収、負担増となると営業困難になる。

わが社は質の高いサービスを1つのポイントとしているが、それも提供することが不可能となる。(質の高いままだと赤字に)質の低いサービスを少ない人員で安い給料で使い潰していくのは適切なのであろうか。

○サービスを提供することでなんとか一人暮らしの生活が営まれています。デイに来て、皆と食事をす

ることで笑顔がみられ、食欲もわきます。入浴することで安心に身体の清潔が保てます。ヘルパーさんが来ていろいろ話をしたり相談しながら室内が片付いていきます。なくしたらごみ屋敷が増え、撤去代がかさみます。人間らしい生活を送りたいため介護保険を払ってきた。いままで一生懸命働いて、やっとゆっくりできるようになったら一人で何もかもならなくてはならないなど、鬼です。

○事業所・利用者いじめです。心ない切り捨ての総合事業を始めないでください!介護職・従事者を専門職とも思わず、利用者を人として考えていないと感じます。現行の報酬でもぎりぎりの経営です。

○一人暮らしで低所得の利用者は無理をしてでも毎日を自分の力で生きておられます。すると介護が必

要な方でも介護認定は軽く出ざるを得ません。調査の質問内容が実情を正確に把握できない表現だか

らです。したがって、認定が要支援でも軽度とは言えず、充分な介護を受けられないのが実情です。そういう現実を無視してさらにサービスをカットされたり、内容を減らされるのは、その方々をせいかつできなくすることです。これまで通りのサービス、いやもっとよりよいサービスをうけられるように方針を転換してください。

○無資格者によるコストカットと簡単に言うが、訪問介護はそんな簡単な仕事ではない。虐待や金銭搾取なども懸案されるが、事業所としては有資格者でもない者に責任はとれない。専門職たる訪問介護員に単なる家事代行もさせられない。専門職をバカにしたような制度で、ほんまにこれでよいのか、大阪市?

 

2.8学習会レジュメ・資料等は大阪社保協ホームページにアップします

 昨日の学習会レジュメ・資料は大阪社保協ホームページ「介護保険新総合事業に地域からどうたちむかうか」ページに明日以降アップしますので、ぜひご覧いただき、各地での取り組みにご活用ください。

 

 

20162月  日

大阪市長 様

2016.2.8大阪市介護保険新総合事業()を学ぶ学習会

 

要望書

 

大阪市は、1月27日の社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会で「介護予防・日常生活支援総合事業案」を示しました。

大阪市は、要支援者のホームヘルパー・デイサービスについて、現行相当サービスを残しつつも、ホームヘルパー(訪問型サービス)は、無資格者による「生活援助型訪問サービス」を新設し、報酬単価は現行の介護予防訪問介護より25%ダウン、デイサービス(通所介護)は、3時間未満の「短時間型通所サービス」を新設し、報酬単価は現行の介護予防通所介護より30%ダウンするという重大な内容を含んでいます。

利用者の実態も見ず、事業者や介護従事者の声も聞かないまま、提案された「安物サービス」は、現在でも人材確保に苦労し、昨年の報酬切り下げで運営が困難になっている事業者にさらに追い討ちをかけ、サービスの質の低下をもたらし利用者の生活にも支障をきたすおそれがあります。

 要支援の方にとって、ホームヘルパーやデイサービスは生活していくうえでかけがえのないものとなっています。

 大阪市におかれましては、市の事業に移っても、これまでどおりと変わりなくホームヘルパーやデイサービスが利用できるようにしてください。

 

【要望】

. 大阪市の事業(総合事業)に移行しても、すべての要支援者が、現行どおりの条件と内容でホームヘルパーとデイサービスが利用できるようにしてください

. 総合事業のサービス類型については、1月27日に提案された案を撤回し、訪問・通所ともすべて現行相当サービスのみとしてください

. 要支援・要介護認定は、窓口で誰もが申請できるようにし、基本チェックリストによる振り分けをしないでください

. 介護事業所の抱える問題点(人材確保困難、報酬削減等による経営悪化)を踏まえ、地域の介護基盤を育成維持・向上してください

. 総合事業の案についえ、市内の関係事業所が参加する「話し合い」の場を早急に設定し、十分に意見を聞いてください