大阪社保協 FAX通信   1066号 2014.3.7                                      

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「2014年度診療報酬改定でどうなるの??」〜今日から2回にわたり連載します。

診療報酬改定は2年に一度で、この4月に改定となります。

「でも、なにがどうなるのか、よくわからない・・・・」という声も沢山あります。そこでも大阪府保険医協会の大谷さんに解説をお願いしました。

本日から連載しますので、ぜひお読みください。

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2014年診療報酬改定でどうなるのか(1)

★「診療報酬改定」とは

「病院から在宅へ」との掛け声のもと、2年に1回の診療報酬改定が行われます。病院に「病床機能分化と連携」を迫る内容となっていますが、地域の病院がどのような対応を迫られるのか、見ていきたいと思います。

診療報酬

今年4月に「診療報酬点数表」が改定されます。「診療報酬点数表」とは、わが国の国民皆保険制度を支えるしくみのひとつで、保険診療における医療行為の価格表や規則のことです。これがないと医療サービスを「現物給付」できません。

現物給付

「現物給付」とは、保険給付の方法として、医療サービス(診療・治療など)そのものを給付するということです。 対義語は「現金給付」。現金を給付するので、そのお金で医療サービスを買うなり自由にしなさいということになります。

熱が出てしんどいのに、窓口で価格交渉なんかできませんので、「この医療行為は1000円」などというようにあらかじめ公定価格を決めます。

この過程で、この医療行為は保険適用する、しない等を決めますので、診療報酬点数表は、医療給付の範囲を決めたり、効果の疑わしい治療行為を排除したりして医療行為の質を一定程度担保する役割を担います。

なにより、診療報酬は医療機関の収入になりますので、診療報酬改定のプラスマイナスは経営や収入に直結し、そこで働く医療スタッフの人件費にも関わる重大事となります。

それは医療提供体制全体にも大きく影響します。特に病院など規模が大きくなればなるほど、その影響は大きいと言えます。

本来、診療報酬は医療行為を評価して、その対価を医療機関に給付するものですが、厚労省はこの診療報酬を政策的な誘導のツールとして用います。

推進したい医療モデルに対して多めに点数をつけるなどして、誘導するのです。

2025年モデル」などと俗称される彼らの描く医療提供体制の未来図へ誘導するわけですが、あまりに度が過ぎると現場の医療を混乱させたりしますし、その未来図が正しいという保障もありません。

2025年モデルとはなにか

 2025年モデル」とは、厚労省が提示する未来の医療・介護等の提供体制の俗称です。

いわゆる「団塊の世代」が2025年に後期高齢者となり、このままでは、医療や介護の提供体制が破綻するとして(2025年問題)、医療提供体制を再構築しなければ、という問題意識が契機です。

その2025年に起こる問題として、厚労省は関係会議に「2025年の超高齢社会像」として問題提起していますが、主な論点として、

@高齢者人口が増える

A認知症患者が増える

B独居老人や高齢夫婦世帯が大多数になる

C年間死亡者が160万に達する

D都市部で顕著に問題化する

などを上げています。これらの問題に対応すべく厚労省が出してきたのが「2025年モデル」というわけです。

2025年モデルの柱〜「病床機能分化」と「地域包括ケアシステム」

その柱としては「病床機能分化」(図1)と「地域包括ケアシステム」(図2)ですが、二つの図をご覧ください。この図を別々に見るのではなく、繋げて考えると、2025年モデルの概要が見えてきます。

2025年モデルの概要は@高齢者の入院が増加するが、病床を増やさずに入院期間の短縮により対応する。A大量の退院患者が出るが、退院先の地域では「地域包括ケアシステム」で対応する。というものです。

本稿では、地域包括ケアシステムに関する疑問はひとまず置いて、病床再編に焦点をあてていきたいと思います。

1の左側が現状の病床の構成、いわゆる「盃型」と言われてますが、これを2025年には右側の「砲弾型」に再編したいということです。

因みに右側のカタチを「ヤクルト型」と呼んだりするそうです。

・・・さて、そのためには「看護配置71病床」を減らして、看護配置131などに移行させたいということで、厚労省は診療報酬で誘導、というか「ふるい落とし」を行ってきます。

そんなことして地域医療は大丈夫かと心配になりますが、厚労省は、71病床を減らして、「地域包括ケア病棟入院料」(看護配置131)を算定する病床を増やしたいようです。

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 図2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

71病床の減らし方(前半)

 

7対1病床

71病床」について解説しますと、正式には「一般病棟入院基本料71入院基本料」の届出病床のことを指します。患者7人に対して1人の看護師を配置する、通常病棟で一番看護配置が厚いとされる病棟です。

2006年の診療報酬改定でこの「71」が創設され、多くの病院が看護師集めに奔走したのが、現在の「看護師不足」の直接の原因だと厚労省はしています。

厚労省はこの「71病床」が必ずしも期待される急性期医療を担っていない実態もあるとして、2025年には「71病床」を半分ぐらいにして、地域医療を担う病床にしたいという意向です。

 

その「減らし方」ですが、具体的には、以下のとおりです。

 

@平均在院日数の運用厳格化

・特定患者の除外規定の廃止

・入院期間の短い手術等を平均在院日数算定から除外

A患者重症度スケールの厳格化

Bその他

・在宅復帰率の導入

・DPC病院に限定

@平均在院日数の運用厳格化

「平均在院日数」とは、その病院における、3か月間の患者の出入りを加味した平均入院期間です。計算方法は省略しますが、71病床ではこの数字を「18日」以内におさめないといけません。

ようするに、ずっと入院している患者さんがいるとこの数字が大きくなるので、入院期間をなんとか短縮することが、病院運営で重要になってきます。

これまで「病院の患者追い出し」と批判されてきた仕組みは、この「平均在院日数」ルールによるものです。

次に、このルールを厚労省がどのように「厳格化」するかです。

1つ目は「特定患者除外規定の廃止」

「平均在院日数のルール」には「特定患者の除外」という例外規定があります。「特定患者」と規定される患者(難病や障害など11の状態に該当する患者)については、特例として平均在院日数の計算式から除外するとされています。つまり、「特定患者」については、入院期間が長くなっても、平均在院日数18日クリアの困難な要因にならない、という措置です。

今回、この除外規定が廃止され、長期入院患者については、@療養病棟入院基本料(201の点数)を算定するか、その患者さんを含めて、A在院日数18日のハードルを越えるかの選択を求められます。

これにより、かつての「除外患者」は、病院経営からみて、@低い診療報酬しか算定できない入院患者になる、もしくは、A平均在院日数を押し上げて、病床運用の困難要因となるという存在に追いやられます。表現がきつくなりましたが、病院経営と患者さんの諸事情とのバランスをとるのが、ますます難しくなりそうです。

2つ目は「短期入院手術等の在院日数外し」

手術のなかには、12日など短い入院期間で実施できる手術等があります。数日の入院で退院するこれらの手術等を受ける入院患者は、「平均在院日数」の運用に苦しむ病院には、平均在院日数を下げてくれるありがたい存在でした。代表として、無呼吸症候群治療のための睡眠ポリグラフィー検査、眼科の白内障手術、内視鏡下でのポリープ切除などがこれにあたります。

厚労省は、これらの手術等を行った場合は、平均在院日数の計算式から除外することにしました。この二つが「平均在院日数の運用厳格化」の内容です。

 

法案を学び、いち早く地域でうごきだすために〜3.11介護保険学習決起集会に大阪全域からご参加ください!!

 

すでにお知らせしている大阪社保協大阪市内ブロック主催「介護保険学習決起集会」が来週11日にに迫ってきました。

 今回の学習会は、法案に何が書いてあるのかをまずしっかりと学びます。学べば、市町村が責任となる新たな総合事業にボランティアなどが一切参入できないことがわかります。

さらには、第5期介護保険特別会計収支見込についての大阪府調査の内容をみていただきながら、第6期介護保険事業計画策定や第6期介護保険料決定に関わって、地域でどんな運動をこの1年間やっていけばいいのかについても提案します。

2014年度は、2015年からだけではなく、2025年からの介護保険を左右するほどの「正念場」のたたかいとなります。

ぜひ、大阪市以外の地域社保協のみなさんも、多数ご参加いただき、いち早く地域で動き出すための意思統一をしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

介護保険学習決起集会

〜改悪法案を学びいち早く地域で動きだすために〜

 

2月12日、政府は介護保険改悪法案(医療・介護一括「改革」法案(正式名は「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」)を国会に提出しました。

今回の介護保険改悪法案の最も大きい柱は要支援者の介護保険はずしと利用者負担増です。さらには大阪市の今期介護保険会計は大赤字となり大阪府財政安定化基金からの借り入れを予定しているため、このままでは来期は大幅値上げが予想されます。

社保協大阪市内ブロックでは地域での運動を急速に進めていくため、法案をしっかりと読み、学んだ上で地域での運動について意思統一をするために学習決起集会を企画しました。もちろん大阪市以外の方でも、どなたでも参加いただけます。参加費は無料です。

 

日時/会場 311()午後645分〜/大阪民医連

★内容 介護保険改悪の内容と今後の地域での運動について

講師 日下部雅喜氏(大阪社保協介護保険対策委員)

主催 大阪社保協・大阪市内ブロック

連絡先 大阪社会保障推進協議会 TEL06-6354-8662 fax06-6357-0846

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3.11大阪市内「介護保険学習決起集会」参加申し込み書

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