大阪社保協 FAX通信   1054号 2013.10.29                                       

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大阪市生野区キャラバンで生活支援課が明言〜生活保護利用者(第一号65歳以上)に「介護保険利用料自己負担をいただくよう担当者は指導している」。

その他不当なケースワーカーからの介入についてケアマネジャーから次々と実態告発。

 

  925日の生野区役所キャラバンでケースワーカーによる不当な介護保険適正化について発覚

 

生活保護受給者の半数近くは高齢者です。単身者も多く、家庭に介護者がいないケースが殆どですので、自然、介護保険利用が多くなります。

925日の生野区役所キャラバンで参加者のケアマネジャーから「福祉用具購入や住宅改修の1割負担をケースワーカーから求められることがあるが・・・・」との質問に対して担当者(課長・課長代理)からとんでもない発言がありました。

以下は、区役所側が作成した議事録です。

 

生野区キャラバン「議事録」から

(団体側)

生活保護受給者が介護保険の福祉用具購入や住宅改修を利用した時の1割負担についてケースワーカーによっては貯蓄の中から負担するように言われる場合がある。どのような法的根拠で、また、ケースワーカーによって自弁できるかどうか問う方と問わない方がいて、ケアマネージャーとしては困惑している。また、生野区では聞いていないが、ウォシュレット機能の付いた補高便座について排泄処理を自分でできない方にとっては有効性を感じているが、それを認めている区とそうでない区がある。生野区ではどうか?

(区 側)          

実務の経験上、生活保護受給者の場合、福祉用具事業者から無料だから申請をするようにすすめる場合があり実際には困っている。ただ、ケースワーカーによって対応が違うことは問題があると考えていますので統一した対応をしていきたい。実務的な対応は担当より説明する。

(区 側)          

1016日のケアマネージャー研修会でもお話させていただく予定をしている。ケアマネージャーが入っている世帯は問題ないと思っているが、ケアマネージャーが関わっていない被保護者で福祉用具購入の場合は、本人が真に用具を必要としているかどうか?と自分で負担ができないかどうか?という2点について確認をしている。

(団体側)       

それはどこからの通達か?居宅介護など毎月の介護サービスについては自己負担できるかどうか問われないのに、なぜ福祉用具だけ問われるのか?

(区 側)          

生活保護費をやりくりしての自己負担については、生活保護法全般における基本的な考え方である。定例的に券が出ている場合は必ずしも毎月は問うていないが、基本的に自分で負担することができないかどうかは貯蓄のあるなしに関わらず確認するようにしている。

(団体側)       

それは大問題。

(区 側)          

1つの例として、医者にかかる移送費(タクシー)が必要だということで区役所まで歩いて相談に来る方がいる。区役所より近い病院まで行くのにタクシー券を出すということについては疑問を感じることがある。介護の部分だけではなく、いろんな部分で自己負担を求めることはある。そのような中で介護事業者から「無料だからもらっておいたら」と言われたからもらったと言われるケースも実際に多くの事例を聞いているので、事情聴取をした上で対応している。先ほどのケースはケアマネージャーが入っているとケアマネージャーから詳しい事情を伺うことができるが、そうでない場合は、今度のケアマネージャーへの説明会でも本人負担と必要性の確認をお願いしたいと考えている。

(団体側)       

移送費について、歩けなかったらバスになり、バスに乗れなかったらタクシーを利用する。それを判断するのは医者であり、距離が長い短いという問題ではない。あなたは医者か?

(区 側)          

医者ではない。実務的に安い交通機関を利用するとか、距離の長短などをお伺いするが、最終的な判断を我々が行うということではない。

(団体側)       

実務的なところの話を次の連絡会で何か出そうと考えているのか?

(区 側)          

過去にもケアマネージャーとの勉強会をしたことがある。チラシや文書のようなものをつくれるかどうかはわからないが、実際ケアマネージャーがどのようなことで困っているのかということをお伺いして、互いの理解を深めることが必要と考えている。

(団体側)       

では、1割負担についてはどう説明するのか?被服代(おむつ代)として出ているとか、安い金額であれば払えるというのはおかしいと思う。必要性の確認は必要だが、1割負担については生活保護から出ると言ってほしい。

(区 側)                     

厳しい情勢の中、納税者から生活保護制度に対して厳しい批判もたくさん頂いており、そちらに対しても説明責任がある。そのような指摘に対して、同じように「自己負担を頂くように担当者は指導している。」と説明をしなければならない。ただ、事情をお伺いして本当に自己負担ができないケースについては、必要な対応をしている。

(団体側)       

この問題はまた改めて話をしたい。

 

★大阪市内全居宅介護支援事業所緊急アンケート実施〜ケアマネジャーから実態報告と怒りの声続々・・・・

 

こうしたことは生野区だけで起きているとは考えられず、そこで全居宅介護支援事業者(ケアマネジャーのいる事業者、1160カ所)に対して緊急に「大阪市生活保護利用者に対する適正化アンケート」を実施しました。そこで、下記のような実態が明らかになりましたので報告します。

 

@   生野区

  ポータブルトイレの購入代金と住宅改修の一部負担金の確認をケースワーカーから依頼された。生活支援課に確認すると、住宅改修と福祉用具購入に対して支払い余力がある方には負担をおねがいしているとのこと。利用者に確認し、介護保険一割分の負担について了承を得る。なかには必要であるのに一部負担のために利用を押さえてサービスを利用されずにリスクが高いまま生活を継続される利用者がおられる可能性がある。

A   住吉区

  ポータブルトイレ購入を申請するとウォッシュレット付が却下されました。ご本人には必要だから申請したのに贅沢品としてみなされているのはおかしいと感じます。

B   西成区

ポータブルトイレの給付は認められないと言われた。

C   東住吉区

  週1回の訪問介護、掃除の援助に入っていたが、自分でするようにケースワーカーが本人に伝えていた。自宅に電話もなく安否確認が困難となった。居宅も不衛生になり、何らかの見守りが必要だと思われる。

D   阿倍野区

ベットを自費で負担するように求められた。

E   淀川区

  ケアマネジャーには言ってこないが、ケースワーカーが本人に直接サービスの使い過ぎだと言っていたようです。でも要介護510万円しか使っておらず、全く無駄もない。利用者は家に引きこもりになってしまった。とても問題です。

F   西成区

浴室椅子の購入時に1割負担を出せない、自己負担をするようにと言われた。

G   鶴見区

ケア会議等を行っても保護課と介護保険課が全く情報を共有するどころか、連携が取れずケアマネ抜きで話が進められたケースがあった。一方的に命令するだけでこちらの意見を聞かないし聞こうともしなかった。ケアマネジャーになってこういう状況におかれたのは初めてで情けなかった。

利用者・家族を全く無視した役所の職員の態度や言動そのものが許されないし、住民に対する「虐待」とも言えるだろう。これだけでも書ききれないくらいである。

H   阿倍野区

  居宅療養管理指導を取っている人を通院に代えるようにいわれた。

I   東住吉区

  同居者に働き盛りの息子(40歳)がいるのに家事援助が週二回も必要ないのではない、週1回に減らし、ゆくゆくは無しにするようにと言われた。息子さんは要介護3のほぼ寝たきりの母親の介護をしており家事だけでも手伝ってほしいと言われたためケアプランに組み込んでいたのだが。

J   浪速区

  居宅療養管理指導について。いきなり往診に来てもらっている人は全てはずせと言われた。本人の状態、主治医への確認も行わずにケアマネジャーのみに高圧的に指示してきた。主治医に確認してほしいといったところ、突然役所の方が6人で現場に乗り込んできた。後日電話で笑いながら「行かせていただきましたから」と言って電話を切られた。大変遺憾であった。

K   平野区

デイサービスの回数制限、ヘルパーの頻度制限、福祉用具購入内容の指定、高齢者住宅の限定など、指示に従わないとサービス提供されないので仕方がない。

L   西成区

  福祉用具購入についてはやはり安いものにするように指示されることが多い。

M   西成区

  居宅療養管理指導、福祉用具購入(補高便座)など、必要なサービスを認めない。必要性はケアプランに記載しているにも関わらず。人として扱っていない。福祉用具購入の一割負担については、通帳の残高を確認して精査を行い、負担するようにと何度も言われた。生活保護が多く大変なことはわかるが、ここまでくると人権侵害ではないかと思う。

N   東住吉区

要介護1で週に一度医師が往診にきていたが(ケアプランは居宅療養管理指導)、要介護1ならあるけるので近くの医院に通院せよと言われ打ち切りとなった。その方は先生の往診によって美容時用がかなり改善された。拒否もかなりっ用のできちんと受診できるか心配している。

O   区は不明

シャワーチェアが必要とケースワーカーに相談したところ、安価のチェアにしてほしいと言われ、最終的には自己負担にしてくださいと言われた。要介護5の方ですが、ご本人は風呂に入りたいと這って風呂場で一人でしゃがんでおられる。ケースワーカーにどうしても言ったら「要介護5で動けないんだからいらんやろ」と言われた。ケースワーカーは考え方がおかしい。

P   浪速区

 往診や訪問歯科のプランについて必要性を強く問われるが、ケースワーカーはご本人の状態を全く把握しておらず、ただ単に必要ないと言われることに対して怒りを持っている。

手すり設置の住宅改修が自己負担となった。少ない保護費で生活していて本人に負担がかかり、食事をきりつめて対応されており、大変だと感じた。

Q   浪速区

「これだけのヘルパーが必要なのか」「福祉用具が必要なのか」などと常に言われるが、ケアプランに位置付けるのはケアマネジャーの業務であり専門性である。ケアマネジャーでもないケースワーカーに裁量があるとは思えない。

R   生野区

住宅改修の一割負担や福祉用具の一割負担にいて、自己負担ができない理由が必要。原則自己負担が必要であると言われ、生活保護開始時に提出している生保開始届を毎回提出さなければならならい。同じ書類を記入、提出しなければならず、手間と時間の負担増である。

S   港区

 西区のケースワーカーは雑用までケアマネジャーや介助員に要請します。ケアマネ=ケアプラン、介護についての対応が基本です。日常生活への対応はケースワーカーも動くべきです。

 

  福祉用具購入・住宅改修・居宅療養管理指導(往診)へのケースワーカーによる不当な適正化が全区で行われている!?

大阪市は生活保護適正化と称し、全区役所に警察官OBを配置し、「適正化に関する調査」(つまり、不正受給を確認するための尾行や張り込み)を実施しています。さらには、西成区で行っている「確認医制度(正式には医療機関等確認制度)」のように複数―医療機関受診や頻回受診への適正化を行っています。

そして、今回明らかになったのは、多くの区で介護保険サービス、特に福祉用具購入・住宅改修・居宅療養管理指導を中心として、一部訪問介護やデイサービスまでもサービス変更を一方的に指示していること、そしてあろうことか利用料を一割負担をすることさえ指示しているのです。GやJのケースでは、それが大変強権的に行われていることが、ケアマネジャーから報告されています。

 

★介護扶助と医療扶助の考え方は同じ。最低生活費を下回る利用料自己負担強要は問題、生活保護法違反の恐れがある〜大阪府の見解

「一部負担の強要」について、大阪府社会援護課に問い合わせをしました。当初、この実態を伝えたところ、「えっ?どういうことですか?」「本当にそんなことがおきているのですか?あり得ません」とにわかに信じられないという反応でした。

大阪府の見解は、「最低生活費を上回る年金などの収入がある場合であれば負担もあるかもしれないが、最低生活費で暮らしているのであれば、当然一割負担は介護扶助として出る」。「医療扶助と介護扶助の考え方は全く同じ。医療費の本人負担がないと同時に、介護保険の本人利用料負担はありません」です。

そして、「この大阪市でおきていることは、生活保護法違反ではありませんか?」と問うと、「最低生活費を下回るのであれば、問題である」と。

 

  今後、大阪社保協・大阪市内ブロックとして、大阪市と交渉を予定

 いまもなお、大阪市内の居宅介護支援事業所からアンケートが続々と寄せられています。アンケートでは同時に「認定事務センター問題」についても問い合わせています。大阪社保協・大阪市内ブロックとしては、こうした実態をもとに大阪市・本庁と話し合いをしていく予定です。